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Sunset

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ハリーが心配そうに見つめると、ドラコはまた唇を噛んで視線をぎこちなく逸らせる。

「ああ、君は本当にどうしょうもない性格だね。自分で自分のことを傷つけるセリフばかりを言って」
ドラコの薄灰色の瞳は少しにじんでいて、今度はそのまぶたにハリーは口付けをした。

「―――真実を言ったまでだ」
「僕の前で意地なんか張らなくてもいいよ。泣いていいから。………いや、僕の前以外では泣かないで欲しい」
「それだったら僕は長生きするつもりだから、あと60年以上は泣けないことになるぞ」
ドラコの憎まれ口に、ハリーのほうが泣きそうな笑顔になる。

「そんなことはない。ずっと側にいるから。絶対に君から離れないから。たとえもし、君を見失ったとしても、僕はずっと君を探し続けるからね、ドラコ。ずっと君を探して、世界の端まで行っても、必ず君を探し出すから安心して」
「夢みがちなことばかり言って──。お前は本当に見かけによらず、ロマンチストだな」
ドラコは苦笑する。

「僕には自信があるんだ。この広い魔法界に君がいなくて、もしマグルの世界の中にいても、大丈夫だ。たくさんの大勢の人に混じっていたって、その中のたったひとりの君を僕は探し出すよ。―――必ずね………」
ひどく甘い言葉にドラコは瞳を閉じるとその腕の中で力を抜いて、相手によりかかった。

ハリーのからだからは、太陽と月のにおいがする。
それはひどく明るくて暗いものだ。

「僕はずっと一生、君に夢中だよ、ドラコ」
うっとりとハリーは自分の中にいるドラコに囁き続ける。
ドラコは小さく苦く笑った。
(ずっと夢の中にいるから、夢中なんだよ、ハリー。覚めない夢はないというのに……)



──ドラコは信じていなかった。

ハリーの甘いだけの言葉も、自分の中にあるこの思いも、すべては夢のように消えてしまうと思っていた。
そうして、夢から目が覚めると、何も残っていないことぐらい分かっていた。


作品名:Sunset 作家名:sabure