解、そして、答
答。
「分かっているよ」
シンドバッドは密やかにつぶやいた。ジャーファルにその言葉が聞き咎められることはなかった。それほどに小さく、しかし強かな言霊であった。
ジャーファルは知らなかったのだ。自分の思いが全て、シンドバッドには筒抜けとなっていることを。自分が、王の手の上で踊っていることを。
もっともっとたくさんの痕跡を、
毎日毎夜お前に与えて、身動きをとれなくしてやろう。
何処にも逃げられないように。
「おまえは俺から、おまえ自身を奪うことができるかな」
シンドバッドは小さく笑うと、揚げ菓子の残りを口に放り込んだ。