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SLAMDUNK 7×14 作品

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ラブコメのセオリーに則って





ほら、漫画でよくあるじゃん。
真面目が取り柄のさえない優等生が、メガネを取ると、実はものすごく美人だったって
いうハナシ。
それだよ、それ。
みんなの前に表れたこの人が、まさにその通りのシチュエーション。

長くて鬱陶しい髪の毛がなくなって。
通った鼻筋、二重の眼。
全体的にまとまった、小作りだけどきれいな顔。
少し細めの体は、それでも、手足が長くすらっとしていて、小さな頭がスタイルの良さ
を強調している。
アナタ誰って聞きたくなる、まさにそんな感じ。

「三井!?」
やっぱり、そうだよね。双子のお兄さん、とかじゃなく。
「女男!?」
実は双子でしたって言うのも、お話的にはおもしろいのに。
「・・・・・・」
バカみたいなこと考えてないで、いい加減この状況を飲み込もう。
「三井サン・・・」
うん、やっぱ間違いない。だって、その証拠に、あの人の顔は傷だらけ。
「よろしくお願いします」
長い体が折り曲げられて、しんとした体育館に響き渡った。
またひとつ、見つけた。
この人、まともに話すといい声だ。

ゆっくりとした足取りで、一歩一歩オレたちのところへ近づいてくる。
…何だよそのカオ…。
びくびくと震える小動物みたいな、不安な目でみんなを見渡して。
口元がキュッと引き結ばれたままの表情は、なんとも言えず頼りない。
おいおい。一日やそこらで、その変わりようってどうなの?
罵声を発することもなく、睨みつけることもなく、ひたすら受身のその姿。
間違いなく三井サンのはずなのに、もう昔のアイツとはダブらない。

小暮さんが近寄っていくと、他の奴らも思い出したようにわらわらと三井サンの元に集
まっていく。
その瞬間、ほっとしたように緊張が緩み、薄い笑みが口元に浮かんだ。
そのカオ…。
ほんと、反則だって。
思わず、よかったね、って言いそうになった。
三井サンを囲む輪の外に突っ立って、オレはその一挙一動を見る。
さっきとは打って変わって、意志の強そうな目が笑顔を浮かべている。
オレの見る限り、まあ、愛想笑いだと思うんだけど。
でも、三井サンが愛想笑いできるんだってことも、発見といえば発見。
って、別に三井サンウォッチをしたいわけではなく。

ぽん、と肩に手を置かれ、振り返ると、愛しの彼女が立っていた。
「リョータ」
にこりと笑うその顔に、オレは幸せな気持ちをかみ締めながら、うん、と頷く。
「三井サン」
大きめの声で呼ぶと、ざっとみんなの視線が集まった。
背の高いあの人の顔はこっからでも良く分かる。
だから、オレが声をかけた時に、気まずそうにしたのもちゃんと見えていた。
「オカエリナサイ」
オレ的最高の愛想笑いを浮かべると、三井サンはビックリした顔をして、それから、笑
った。
花が咲くみたいに、なんて陳腐な表現を、まさか自分が使う日が来ようとは。
けれど、その笑顔を例えるならば、オレにはそれくらいしか思い浮かばなかったんだ。

今のアンタと、オレの知ってるアンタは、激しくギャップがありすぎるけど、これから
一緒に全国目指すんなら、こっちのアンタのほうがイイね。


漫画でよくあるハナシの続きが、『恋に堕ちる』ことだって、オレ自身が気づくのは、
もうちょっと後のお話。


















作品名:SLAMDUNK 7×14 作品 作家名:鎖霧