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【腐デュラララ!!】4月病【シズイザ】

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「え」

 ぽたぽた、と暖かいものが臨也の頬に落ちた。何が起きているのかと、瞬きを繰り返すこと二度、三度。臨也はようやく状況を理解する。
 平和島静雄が泣いている。自分のうえに跨って、自分の首に手を伸ばしかけて。その指先が瘧を起こしたように震えている。
 突然のことに、さすがの臨也も言葉を詰まらせた。一体何がどうなっているのだろう。

「…シズちゃん、なに…してるの?」
 
 ぽつりと零れた問いは、臨也にしてはあまりにも間抜けだった。が、それ故に純粋でもあった。常に静雄を煽るように仕向けた声の抑揚はなりを潜め、ただあるがままに落とされた。
静雄もその無意味な問いに怒りもせず、むしろ何か言いたげに僅かに唇を震わせた。らしくない、こんなのは。シズちゃんが俺を傷つけることに躊躇するなんて、それどころか俺の前で泣き顔を見せるなんて。静雄の弱みなら一つでも多く掴んでおきたかったはずなのに、唐突に現れたそれはただただ臨也を困惑させるだけだった。
 目の前で戸惑っていた静雄の指先は、やがて力なく垂れた。臨也もまた、静雄の首筋に突きつけていたナイフを下ろしていた。二人がこんなに近くにいるのに、互いに刃を向けず、八重歯を覗かせもせずにいる。

「なんなの、わけ…わかんないよ、」

 今日は一体何が起こっているのだろう。


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