君のいる、世界は04
「捕らえる事が出来るならば、照合を行いたいとの事。それと、必要ならば、キラ・ヤマトとフリーダムの出撃を容認する、とも言って来ている。」
そこで彼は一度言葉を切って、キラに一枚の紙片を手渡した。
「…これは、アスラン・ザラ国防委員長補佐官から、君宛てのメッセージだ。」
目を丸くしてそれを受け取りながら、思わずフラガの顔を見上げると、なにか言いたそうな微妙な顔をしていた。それに気付かない振りをして、キラは文書に目を通すと、思わず笑みを浮かべた。
「…行ってくれるかね?」
それを見ていたのか、老人は幾分和らいだ声でそう訊いた。それに応えるように、もう一度フラガの顔を見上げると、その人は少しだけ困ったように頷いた。
「…了解しました。」
そう告げて、敬礼する。
親友からのメッセージには、たった一言。
躊躇うな。
必要ならば、その力を使う事を躊躇ってはいけない、と言う意味をこめて。
誰もが望む世界を開いた、あの時のように。
きっと、そこで待っている筈。
迷わず、光在る世界を共に作る為に。
「…力を、貸して。」
もう一度、護る為の力を。
作品名:君のいる、世界は04 作家名:綾沙かへる