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353訓~360訓ネタバレ銀桂小話集

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せっぱ詰まったときに出るのが本音



レストランに万事屋三人と桂はいた。
万事屋三人をまえにして、桂は「捜さないでください」というエリザベスの書き置きについて相談していた。
が、捜さないでくださいとはどういうことかと考えるうちに桂は捜さないでください迷路に入りこみ、「ややこしい」と銀時に蹴りを入れられる。
テーブルに突っ伏す桂は言う。
「捜さないでください」
「捜さねーよ」
つれなく銀時は言い返した。

そのとき。

「銀ちゃん、素直じゃないアル」
銀時の右隣に座っている神楽が言った。
銀時の左隣に座っている新八は同意するようにうなずいている。
「ああ?」
銀時は顔をしかめた。
「どこが素直じゃねェんだよ。俺ァ、素直だよ」
「またまた、そんな、銀さん、証拠もあるんですよ?」
ニタアと新八は笑いながら立ちあがる。
その手にはリモコンがあった。
「な、なんだよ、証拠って。つーか、そのリモコン、どこから出した!?」
「そんなことはどうでもいいじゃないですか。それよりも、あちらのスクリーンを見てください」
新八の指さしたほうには、いつのまにかスクリーンが設置されていた。
「さっきまであんなもんなかったよな……!?」
驚愕する銀時。
しかし、そんな銀時を無視して、新八はリモコンの再生ボタンを押した。

スクリーンに映しだされたのは、映画にもなった紅桜篇のシーンである。

夜の江戸。
木刀を手にした銀時と、妖刀・紅桜を手にした似蔵が、対峙している。
桂を斬ったと告げた似蔵はその証拠として長い黒髪の束を銀時に見せつける。
「ホラ、せめて奴の形見だけでも返すよ」
新八とエリザベスは眼を見張る。
一方、似蔵は天をあおぎ、黒髪の束をもてあそぶように自分の顔に近づける。
銀時は木刀を強く握りしめた。
しかし、それには気づいていない様子で、似蔵は楽しげに続ける。
「しかし桂ってのは本当に男かィ? このなめらかな髪…まるで女のような…」
似蔵の台詞が断ち切られた。
銀時が似蔵に斬りかかったのだ。
だが、それを似蔵は紅桜で受け止める。
互いの刀身がぶつかり、押し合うが、拮抗している。
「何度も同じこと言わせんじゃねーよ」
銀時は打ち合った刀の向こうにいる似蔵に告げる。
「ヅラはてめーみてーなザコにやられるような奴じゃねーんだよ」
その顔には激怒していることがはっきりとあらわれていた。

万事屋の応接間兼居間。
銀時とお妙と鉄子がいる。
鉄子は謝罪と兄を止めてほしいと頼みにきたのだった。
けれども。
「どうしていいのかわからんのは俺のほうだよ」
銀時はだるそうにソファから立ちあがる。
「こっちはこんなケガをするわ、ツレがやられるわで、頭ん中グチャグチャなんだよ」

画像はそこで終わった。
店内にいる客のあいだからは「きゃーツレですってー」とか「そんなに相手のことを想ってるのねー」とか熱を帯びた声があがっている。
「……どうですか、銀さん」
新八はスクリーンに向けていた顔を銀時に向ける。
「これでも、さっきの態度は素直だったと言えますか?」
そう問われた銀時は身を縮めている。
ものすっっっごく恥ずかしい。
穴があったら入りたい、とは、まさしくこのことか。
しかし、身を隠せるような穴はない。
「う、あー、えー」
「素直ではなかったと認めますね?」
「……ハイ」
消え入りそうな小声で返事をした。
新八は晴れやかな表情になる。
そして、桂に話しかける。
「桂さん、銀さんが認めましたよ」
だが。
桂はまだテーブルに突っ伏していた。
新八の眼が点になる。
「桂さんんんんんっ!?」
その声に、ようやく桂は上体を起こした。
「なんだ、新八君」
「なんだって、まさか、まさか、さっきの映像を見てなかったんですか!?」
「ああ」
「ああ、って、あっさり……。あ、でも、音声は聞こえてましたよね?」
「ああ、聞こえていた。銀時と似蔵が話していたな」
「そうです、そうです。あの会話から、銀さんがいかに桂さんのことを……」
「それはともかくとして」
桂は新八の言葉を平然とさえぎった。
「話をもどそう」
「え」
「捜さないでくださいというエリザベスの書き置きについてだが、新八君、君はどう思う?」
「さっきの紅桜篇の映像についてはスルーかよ!」
新八は眼を見張り、鋭くツッコミを入れた。
神楽も立ちあがって、桂に言う。
「ヅラ! さっきの映像をガン見されたら、銀ちゃんは恥ずかしいアル。でも、無視されたら、寂しいアル。あんなにがんばったのに、銀ちゃん可哀想アル!!」
「……もーいいって、おまえら、頼むから、これ以上、騒ぎを大きくしないでくれ」
エリザベス優先なのには慣れているし……。
そう思いながら、銀時は悲しげな表情でソファにぐったりと身をあずけた。