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【Secretシリーズ 2】Truth -真実-

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暖かな主が戻った部屋で、ドラコは深く眠っている。
ひどく泣いたせいで、まぶたが腫れて、風にあおられ髪はもつれて、頬には砂が付いて汚れている。

それでも、ハリーにとったら、何よりの宝物だった。
唯一のかけがえのない、ただひとつの宝物だ。


ハリーは相手のほほを両手に包み込む。
夢のようだった。

「──なに?」
ドラコは身動きして、瞳をひらく。
ハリーを見詰めるドラコの瞳は、青く澄んだ輝きが広がっている。

ハリーはドラコの手をとり、キスをした。
そして、相手の手と自分の手を重ねて握りこむ。

「この手をもう一度とってもいいのかな?」
ドラコは照れたように言った。
「――僕は冗談が苦手なんだ。もう笑ってごまかしても遅いぞ。今のはなしって言っても遅いからな。本気するからな。いいのか?」
「いいよ。ずっと君のそばにいるよ。たとえ君のほうがイヤがっても、離さないからね。君のほうこそ、覚悟してね」

そしてドラコはハリーを見て、笑った。
幸せそうに笑った。
すべて理解したという顔で笑った。


ドラコは安心したように、ハリーにもたれかかる。
それを抱きしめて、ハリーも深く息をついた。

いろんな今までの思い出が、ふたりのあいだを流れていく。
最初の出会いから、ひどく長い時間がたっている。
でも、遅すぎることはない。
何もかも、これから始まるんだ。


明るい未来でなくてもいい。

希望に満ちていなくてもいい。
そんなものは自分たちで作っていくから、大丈夫。

怖くもないし、迷いもない。

急がなくていい。

まっすぐでなくてもいい。

ただ、いっしょにいられるだけでいい。


――――それだけでいいんだ。


それ以上の望みなんか、ふたりにはあるはずもなかったからだ――――


   ■END■