東方鬼人伝
プロローグ
1ページ
緑生い茂る農村
「おーい、童子よう
童子はおるかい?」
「なんだい、茂村のじいさま」
そこが俺らの実家
今日も畑を起こしていると近所の茂村のじいさまが俺らを呼びつけた
「今日も野良仕事かえ童子よう」
「当たり前だぜ、じいさまよ。 百姓は土と一緒に育つんだよう」
鍬を地面につきたてて地面を掘り起こす
土はええ具合だねえ、今年はたくさん実るかもしれんね
「野良仕事もええがな、ほれ、今日は山に入る日だぜ?」
「山? はて、もうそんな季節かね。」
「なにんバカなこと言っとるか! 前に山入ったのはもう去年やろ」
「そうじゃったか? まぁええや、今日の畑は親父に頼むとするかね」
手ぬぐいででこを拭って
俺らは鍬を畑に突き刺して畑を出ようとしたが
「ちょいとまちぃや童子よ」
隣の畑を起こしてたおばちゃんが俺らを捕まえて言った
「なんじゃい、俺らは今から山にいかんとイカンのじゃー……」
「それは頑張ったらええよ、けど童子の鍬を畑から持っていかんか
あんな鍬、持ち上げたら腰いわすわ」
「あ、そいつはいけねぇ」
そう言われて俺らは鍬を引っこ抜いて肩に乗せて畑を後にした
「しかしお前さまたでかくなったなぁ」
「おかげで戸口に頭さぶつけてばかりだよ」
頭をさすって俺らは言う
「山はなんか落ちとるか?」
「さてな、ヨモギとかあるかね?」
「山さ手入れする前にヨモギやらを拾うのも良いかもしれんね」
カゴと斧をとってくるとじいさまは自分の家に行った
俺らも家のほうへ向かうと
縁側でタバコを蒸かす親父に声をかけた
親父の服は泥だらけだったので
どうやらほかのところで野良仕事をしてたらしい
「親父、茂村のじいさまの手伝いで俺らちょっと山に行ってくるよ」
「そうか、野良仕事かわれってんだな?よしきた」
親父はそう言うと縁側に立て掛けてあった鍬を担いで立ち上がった
「斧は納屋にあるぞ、壊さんよう使えよ~」
そう言うと親父はタタタと走って行ってしまった
相変わらず元気な親父だ