二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

シャッフルロマンス

INDEX|4ページ/4ページ|

前のページ
 


 むかしむかしの、ある王国のお話です。
 西の大地に栄えたその王国は、マジックといいました。明るく賢いお妃様によって治められ、今は亡き王様の意思を継いだ騎士達に堅く守られ、民と支え合う王国でありました。
 亡き王様とお妃様の間には、一人の息子がおりました。王様の知性と機転、お妃様の手腕を受け継いだ、それはそれは賢い王子でありました。彼は名をクラブといいました。
 王様は、王子がまだ九つの頃に事故で亡くなったのですが、王子はその事故にずっと違和感を覚えておりました。賢い王様が、些細な事故で命を落とすとは考えられなかったのです。
 それから八年の年月が経ったある春の日、王子は、ついに事故の裏に潜む真相を突き止めたのです。あの事故は、謎の組織による王様の暗殺だったのです。その組織は歴史の裏で暗躍する、残忍で凶悪な集団でした。諸国で起きた事件を調べてみると、組織は様々に関与していることが分かりました。そこにはきっと、何か良からぬ目的があるのであろうということも。
 父の敵討ちの意も込めて組織の壊滅を決意した王子でしたが、その才知を以てしても、彼一人では組織の実体を掴むことができませんでした。王子が焦りと苛立ちを感じる中で、無情にも時は流れていきます。夏が終わり、秋の涼しい風が袖を通る季節になっておりました。
 そんな王子に、マジック家に仕える魔術師は言いました。「あなたがやるべきことを成し遂げるには、ジョーカーが二つ必要」なのだと。「ジョーカー」の一人はクラブ王子、そしてもう一人は、とある東の国の王子なのだと。
 王子は東方へ赴き、もう一人の「ジョーカー」に出会いました。彼もまた、偶然にもクラブ王子と同じ目的を持っておりました。その上二人は、まるで互いの半身であるかのように、知力も、思考回路も、ぴたりと調和しておりました。初めて出会ったことが嘘のように二人は通じ合い、晩秋の頃から、彼らによる組織壊滅作戦の遂行が始まりました。
 そして春が間近に迫った冬の日、枝が蕾を付ける頃。王子の悲願は、遂に達成されたのでした。



 むかしむかしの、ある王国のお話です。
 たいそう賢い王様と、心優しいお妃様によって治められたその国は、民に深く信頼され、愛される王国でありました。西の王国と友好関係を結び、かつての脅威であった北の帝国は衰退し、平和な時代が築かれておりました。
 この古き良き時代のことは、今となっては多くは語られません。けれど、きっと王様とお妃様は深く愛し合い、互いを想い、寄り添い合って歴史を紡いだのでありましょう。
作品名:シャッフルロマンス 作家名:アキ