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まだ理由は知らない

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「おい、お前それ…」
「あ?なんだ?」
「いや………何でもねェ」
「…はあ?早く食っちまえマリモ。片付かねェだろうが」

お前筋トレバカも大概にしとけ、みんなと同じ時間に飯食えよ面倒くせェんだよ、というもう何度目かわからないサンジの説教を適当に受け流しながら、ゾロはなんとなく目についたそれをじっと見つめていた。大変なもんなんだな、とぼんやり考えながら。










「ちょっと聞きてェんだが」
「なあに?」

遅めの夕食を済ませたゾロは、部屋で本を読んでいたロビンの元を訪れた。

「その、なんつうんだ…女がよく手にぬってる変なのがあるだろ」
「変なの?ハンドクリームのことかしら?」
「ああ、それだ。すまねェが、それをちょっと分けてもらいてェんだが」
「え………」
「な、なんだよその顔は…!」

ゾロの言葉にロビンはあからさまに表情を固めた。ゾロは顔を赤くしながら、別におれが使うんじゃねェよ!と思わず怒鳴る。

「あら、じゃあ誰が使うのかしら」
「べ、別にいいだろなんだって…とにかくそれがいるんだ、必要なら金だって払う」
「ふふっ、いらないわ。余分にいくつか買ってあるから、これをどうぞ」
「そ、そうか………ありがとな」
「どういたしまして」

バタバタと部屋を出ていくゾロの後ろ姿を見送りながら、ロビンは楽しそうに微笑んだ。

「なにかしら?…お代のかわりといってはなんだけど、これくらいは許されるわよね」


作品名:まだ理由は知らない 作家名:ルーク