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【Secretシリーズ 3 】Mind -回想-

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【Dracos mind】



あの日の夜のことはよく覚えている。
満月に照らされた明るい光を背に受けて、彼はそこに立っていた──


深夜にハリーは、バルコニーに続いている窓から、ドラコの自室へと入ってきた。
ホグワーツの日々は遠くなったというのに、まるで昨日の続きのように、親しげに笑いかけてくる。
「――やあ、ひさしぶり」

ドラコは信じられず、驚きで声も出なかった。
幾重にも闇の魔法にガードされた屋敷に、こともなげに侵入してきた相手が、あの『ハリー・ポッター』だったなんて。

極上の笑みを浮かべたまま、ハリーがゆっくりと近づいてくる。
ドラコはそんな相手を見詰めたまま、逃げることも助けを呼ぶことも忘れて、ただ無言で見つめ続けていた。

相手がドラコに向かって、極上の笑みを浮かべたまま、親しげにやさしく笑いかけているので、
「もしかして自分たちは親友だったのかな?」
と、ドラコは勘違いしてしまいそうになる。

ハリーは卒業式で見送った頃より、髪の毛が少し伸びて、野外の仕事が多いのか、日焼けをして、からだは引き締まっていた。
乱れて跳ねた黒髪に、エメラルドの瞳は月明かりを受けて輝いている。

―――ひどく魅惑的に。


「まだ寝ていなかったんだ。君は夜更かしなんだね。起きているとは思っていなかったから、窓からなんて、無作法なことをしたよ。今度来るときは、ちゃんとドアから入ることにするから」
そう言って足音さえ立てずに歩き、ゆったりとドラコの前に立った。

「──まあ、今度というのが、もうないかも知れないけどね」
ニヤッと目を細める。

「君に会いたかったよ、ずっと……」
柔らかい笑みで、両手を広げるとドラコを自分の胸の中に抱きしめた。

相手の温かさに包まれると、ドラコの中に戸惑いといっしょに、言い知れない気持ちが湧き上がってくる。

眩暈のような感情に、目を閉じた。

「――さあ、僕といっしょに行こう」
耳元にそっとささやかれる。


ドラコはその言葉を聞いた次の瞬間、世界が闇夜に変わり、記憶がとぎれた。