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世界で一番遠い I love you(英米/R15)

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「アメリカ」

答えろと名を呼ばれる。
涙で歪んだ視界の中、険しい表情でこちらを見下ろすイギリスをアメリカは見上げた。
真実は一つしかない。
その真実を言葉に詰まりながらもアメリカは口にする。

「日本はっ、俺の、大事な友達、だよっ」

嗚咽に紛れた台詞はそれでもきちんとイギリスに届いたらしい。
驚きに目を見張ったがすぐに怒りに染まった表情をイギリスは浮かべた。
そして憤りのままに言葉はぶつけられる。

「俺のことをそんなに嗤いたいのか!!」

「違うよ、違う・・・・・・」

ふるふると首を振ってアメリカは否定した。
イギリスの怒気に当てられて竦む腕をそのイギリスに必死に伸ばして首に絡めて
引き寄せる。
大した抵抗もなく落ちてきた身体を抱きしめて、アメリカはぐずぐずと鼻を鳴らした。
何とかしてイギリスの悲しい誤解を解きたかった。

「俺のこと好きじゃねえんだろ。何で抵抗しねえんだよ・・・・・・」

苦しげな声が直接胸に響く。
辛いのはアメリカだけではなくイギリスもだ。
アメリカの気持ちがわからなくて、イギリスも苦しんでいる。
少しだけイギリスの体を離して目を覗きこんだ。
傷ついて、ひび割れた宝石のような瞳。
その瞳をアメリカは見たことがある。
さほど昔ではない。あのとき、アメリカに元に戻ろうと言った時も同じような瞳を
していた。
あのときは自分のことばかりで気付けなかったけれど今は気付ける。
気づいたならばアメリカはヒーローとして・・・いや、そうじゃなかったとしても
彼を愛する者として、傷ついた彼を癒したいと思った。

「好きだよ」

「―――――っ」

「キミが好きだ。愛している」

飾り気のない本心からの言葉はアメリカが思っているよりも簡単に
口にすることができた。
元々腹に何かを隠していることが―――――国政は別としてプライベートではとても苦手な
アメリカであったから一度腹をくくってしまえば思いを伝えるということは
そう大して難しいことではなかった。
もちろん気恥ずかしさや照れくささはある。
『好き』はともかく『愛している』など今までに伝えたことは無かったし
何よりも相手が相手だ。
イギリスに『愛している』と告げる日が来るなど考えたこともなかった。
けれど、今となっては彼を愛することは必然のように思えた。
フランスのような言い回しになってしまうが、言いかえるならば彼を
愛することは運命だ。
もっとも、こんなことは彼に言えやしないけれど。

「嘘つくんじゃねえよ」

「嘘じゃない。・・・・・・信じられないならいいよ。俺を抱いたっていい。
 それでキミが信じてくれるなら構わないんだぞ」

もう一度無防備なイギリスの唇に口付けて、アメリカは囁く。
男に抱かれるなんて冗談じゃないと思うけれどそれでイギリスが信じてくれるならば
それでもいいと思った。
身体の力を抜いてイギリスに委ねる。
真意を確かめるようにアメリカの瞳を覗きこんでいたイギリスはふと眼差しを
柔らかくしてアメリカに唇に触れた。
重ねるだけの柔らかなバードキス。
それだけじゃ物足りなくて腕を軽く引っ張って催促をすると「煽るんじゃねえよ餓鬼」と
悪い顔で笑ったイギリスが遠慮なしに舌を突っ込んできた。
今度は抵抗することなくむしろ積極的に舌を絡ませて唾液を啜る。
いい加減、顎が痛くなってきて涙が零れそうになった頃、ようやくイギリスが離れ
離れてもキスが出来そうな距離で口を開いた。

「言っておくが俺はお前を信じないぞ。お前には何回も騙されているからな」

「人聞き悪いことを言わないでくれよ。まあキミが信じてくれないなら
 俺は何度でも言うよ。愛しているって」

指先で頬をなぞり、唇をなぞり、アメリカは微笑む。
彼の言いだしたことは予想の範疇だった。
ならば、彼が信じるまで何度でも愛を紡ぐだけだ。

「俺は愛しているぞ。アメリカ」

「そこは俺もって言うところだろ!まったくキミってば空気読めないよね」

「んだとごらぁ、テメエにだけは言われたくねーよ」

「何を言っているんだい。俺ほど空気を読む人はいないよ」

互いに顔を見合わせてぷっと吹き出す。
こんなくだらないやり取りをするのはいつ以来だろう。
幸せに満ち溢れた気持ちで自分を見下ろすイギリスを見つめた。

「・・・・・・愛している、アメリカ」

「俺もだよ、イギリス」

指先と指先を絡めて、口づけを交わす。
その口づけは今まで交わした口づけの中で一番幸せな味がした。