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世界で一番遠い I love you(英米/R15)

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ドンドンドンドン!

けたたましい殴打の音に意識を引き戻されて、アメリカは目を覚ました。
頭がぼんやりとしてやや痛むのは大量にアルコールを摂取したせいだろう。
額を抑えながら身を起こすとそこはアメリカの宿泊するホテルの部屋だった。

(俺―――――確か、日本とご飯を食べていて―――――)

デザートまでしっかり食べて、店を出たところまでは覚えている。
その先が霧がかったように思い出せないが、酔ってフラフラなアメリカを
部屋まで連れて来てくれたのは日本だろう。
はあ、と息をつくと酷くアルコール臭い。
シャワーでも浴びたいなと考えたところで扉を乱暴に叩く音が絶えていないことに
気付いた。

(一般人ではないだろうけど・・・・・・)

眉を顰めてアメリカはベッドから立ち上がる。
アメリカたち『国』が泊まるホテルは基本的にフロア全体を貸し切って手配される。
一般人が迷い込もうともすぐにSPが誘導するため、一般人の酔っ払いが
アメリカの部屋のドアを殴打する可能性はゼロに等しい。
ならば考えられるのは『国』なのだが、アメリカ合衆国の部屋と知っていて
このような振舞いをする国など限られる。
ならば、今ドアを叩いているのは―――――

「っうおっ」

「わあっ」

覗き穴から確認もせずに開けると勢いよくスーツ姿の男が転がり込んできた。
それを持ち前の反射神経で交わして、床に激突した人を確認する。
やはりイギリスだ。

「キ、キミ、こんな時間に何しているんだい!?」

「―――――それはこっちの台詞だ」

素早く立ち上がったイギリスはアメリカの腕を掴んでベッドに投げ飛ばした。
不意を突かれてまともに受け身を取れなかったアメリカは激しくせき込む。
ベッドに乗りあがり、アメリカに覆いかぶさって、顔の両脇に手を着いた
イギリスの瞳は爛々と輝いていた。
深みの増したフォレストグリーンは苛立ちと怒りに満ち溢れていた。
付き合っていた頃には向けられたことのない色合いだ。
瞳の力だけで身体がびりびりするほどの怒りをこの人は何に抱いているのだろうか。
少なくとも、今のアメリカにこれほどの怒りをぶつけられる心当たりはない。

「お前、日本と何をしていた?」

囁くほどの声音なのに込められた激情は空気を震わせるほど怒りに満ちていた。
アメリカの体は拘束されていないのだから、イギリスの隙をついて
脱出することはたやすい。
だが、その抵抗すらもぎ取るような眼差しと声にアメリカは硬直したまま
震えそうになる唇を必死に開く。

「キミに・・・イギリスには関係ないだろ」

わけがわからないままに怒られて、素直に言うほどアメリカは恭順ではない。
だが今回に限ってはその選択が裏目に出た。
ふ、と口端を持ち上げたイギリスは右手をアメリカの胸に滑らせる。
直接素肌を触られて、ふるりと身体が震えた。

「いつの間に・・・・・・」

「何恍けてるんだよ。最初から全部開けていたんだぜ。・・・・・・さすがに
 跡を残すようなミスはしていないか・・・・・・」

「何のことだい?」

シャツを全開にして素肌を舐めるように見ていたイギリスが視線をあげる。
煌々と宿るのは失意の色。
茫然と見返すアメリカにくっと笑って戦慄くアメリカの唇をぺろりと舐めた。

「俺と付き合っていたのはただの当てつけで、本命は日本なんだろ?」

ガン、と思い切り鈍器で殴られたようなショックがアメリカを襲った。
何を言っているのかわからないし、わかりたくもなかった。
それほど衝撃的で思いもよらないことだった。
誤解だよ。日本はただ相談に乗ってくれただけで本命はキミなんだよ。
言いたい言葉は喉の奥に溜まるばかりで音にはならない。
ほとんど触れているほどに顔を近づけたイギリスは嘲るように嗤って口を開く。

「そりゃあキスも嫌がるよな。他に本命が居るんじゃ」

違う、と反射的に叫ぼうと開かれた口の中に一気に距離を詰めたイギリスが
舌を差し込んだ。
嫌だと首を振っても逃げ惑う舌を絡めとられて擽られる。
送り込まれた唾液が溢れ出して、しとどにアメリカの頬を濡らしていく。
何とか逃げ出そうと身を捩るアメリカにイギリスは目を細めて
右手を下着の中に潜り込ませる。
何をされるのか予想もつかず体を硬直させたアメリカは信じられない場所に
指を這わされてぎゅっと目を閉じた。
当然のごとく、何もしていない後肛はさらりと乾いている。
さすがにおかしいと気付いたイギリスは下着から手を出し、口を解放して
アメリカに尋ねた。

「オイ。ここは使ってないのかよ?」

「ううっ、ひっ・・・・・・」

口を解放されたアメリカは泣きじゃくっていた。
日本の前では流そうとしなかった涙を惜しげもなく流して嗚咽を漏らす。
心が痛くてしょうがなかった。
信じてもらえないことも悲しかったが、それよりもイギリスに日本との
関係を疑われたことが一番悲しかった。
日本は友人だ。
アメリカに一番最初にできた大切な友人だ。
その大切な友人との関係をこんな風に疑われたくなどなかった。