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【腐向け】貴方の隣のスペースは空いていますか【虎兎】

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「なぁ、バニーちゃんよー」
「バニーちゃんじゃありません、バーナビーです」
「どっちでもいいだろう。まぁ、そんなことは置いといて。お前、なんで俺についてくるんだよ」

謎のNEXTの襲撃後。敵を逃がしてしまったために、この場は解散となったヒーローたち。虎徹はそのまま歩いて帰るつもりだったのだが、なぜかバーナビーが後ろからついてくる。そのことを指摘しても彼は何も言わず、とうとう虎徹の住むアパートまでついてきた。

「ボロくさいところですね。貴方にお似合いだ」
「なんだー。人の家にケチをつけるためについて来たのか?だったら帰れよ」
「いいえ。ケチなんてつけるつもりはありませんでした。貴方もヒーローなのだから良い場所に住んでいると勝手に思っていました」
「……どうせ俺は落ちこぼれのスーパーヒーローだ」

そう言って虎徹は部屋の電気をつける。灯された部屋は空き瓶や雑誌などが転がっていた。

「部屋の掃除ぐらいやったらどうなんですか」
「んなのせずに生きていられるぜ。まぁ、たまーにするけどな。なんか飲むか?」

虎徹は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出す。そして、それをヤカンに注ぎ火をつける。
バーナビーは何も言わず彼の行動を注視していた。何も言わないバーナビーに対し虎徹はそっとため息をつき、戸棚から茶缶を取り出した。

「シャワー浴びたらすぐに寝るから、コーヒーじゃなくて緑茶な」
「どうぞお好きに」
「………お前よ。なんで俺の家に来たんだ」
「…………ファイヤーエンブレムが貴方の家に行けば添い寝をしてもらえる、と聞いたので」
「………………はぁ?」

バーナビーの言葉に虎徹は持っていた茶缶を手から落としそうになった。その間にヤカンがピューッと沸きだった音を立てる。虎徹は慌ててその火を消した。
それから自分を落ち着かせるかのように虎徹は茶缶から茶葉を取り出し、急須に入れる。その上からお湯を注ぎ、蓋をして、少しだけ蒸らす。棚から湯のみを二つ取り出しそれにお茶を注いだ。

「……ほらよ」

テーブルの上にコトンと乱暴に一つ、湯のみをバーナビーの前に置いた。バーナビーはチラリとそれを見ただけで口につけなかった。
虎徹がお茶をすする音だけが部屋に響く。その空気が嫌になったのか、虎徹はやれやれと思いながらも口を開いた。

「どうして、俺がお前に添い寝をしなくちゃなんねーんだ」
「別に、しなくても構いません。ただ……男でも女でも誰でも構わず添い寝をするのかと思いまして」
「しねーよ。したこともない。………したとしてもアイツだけだ」

最後の言葉はつぶやくように、寂しそうに虎徹は言った。その様子を見てバーナビーの心がざわつく。

(……どうして、こんな感情になるんでしょうか)

イライラとした感情を抱えてバーナビーは虎徹に近づく。そして、ぐいっと顎を掴んだ。

「おっ、おい……顔が近いぞ」
「顔を近づけているんですから当たり前です。前言撤回します。僕に添い寝をしてください」
「いや、どうしてそうなるんだ」
「今日はいろいろなことがありました。こう見えても精神的に疲れているんです。……うさぎは寂しいと死んじゃうんですよ?」

フッと笑ったバーナビーを見て、虎徹はお前死ぬわけないだろうというツッコミを全て飲み込んだ。今の彼に有無を言わせぬ迫力があるからだ。

「……本当に添い寝をするだけだぞ」
「えぇ、それ以上もそれ以下も何も期待していません。ただ、疲れた体を休ませたいんです」
「だったら自分の家で寝ればいいだけだろう」
「今はなんだか人肌が恋しいんです」
「添い寝なんて、俺なんかよりもファイヤーエンブレムの方が得意だぞ」
「嫌ですよ、あんな人に添い寝されるより貴方にされたようがましです」
「……まぁ、確かに。アイツと寝たら魂まで食われるかもしれないからな。ってことで、バニーちゃんよ。俺はシャワー浴びたいからその手をどけてくれない?」
「おじさんの前に客である僕が先に浴びるべきではありませんか?」
「……お前、二番風呂が嫌なだけだろ」
「えぇ、そうですけど何か」

真顔で答えたバーナビーに虎徹は今日何度目かのため息をついた。適当に寝巻を用意するからシャワーを浴びて来い、と。

(あー。でも俺とアイツじゃサイズが違うな……)

細かいことはいいか、と頭を切り替え虎徹は着替えを探しに行った。