【Secretシリーズ 4 】 帰り道
見上げると、深い森の中、木々の向こうに、青空が見える。
また、ハリーとこうして、ふたりで居られるなんて、昨日までは夢にも思わなかった。
ドラコは駄々をこねて、困らせている相手を少しにらんだ。
「僕は寒いのは、本当に苦手なんだ」
「魔法で、なんとか!」
「背中が痛いのも、勘弁してくれ」
「これがあるよ」
ハリーは杖で、例のブランケットを取り出した。
「──ハーマイオニーのを使うなんて、君はある意味、本当に命知らずだな」
「ありがとう」
ハリーの明るい返事に、ドラコは苦笑した。
その笑顔を見て、ハリーも笑う。
ふたりはゆっくりと身を寄せ合うと、お互いのからだに寒くないように、軽い魔法をかけた。
「家に帰るのは、明日でいいよね?」
「──なんでだ?もう半分の距離だから、夜までには、辿りつくことが出来るはずだ」
「だって、今日は君を放せそうにないもの」
「そんなにがっつかなくても、これからは、ずっと居るんだし……」
「いや、待てないっ!我慢しないっ!」
ドラコの鼻先にチュッとキスをして、ハリーは言った。
「だって、人を好きになるって、そういうことだもの」
ドラコも笑って答えた。
少し自嘲気味な顔で──
「ああ、本当に、人を好きになるって、そういうことだな。──仕方ないけど──」
■END■
*かなり前作までの作品と赴きが異なり、軽いノリになってしまいました。
「ええっ!」とびっくりされている方も、いらっしゃるかもしれません。
すみません。
この小説は別名『ハネムーン編』と呼んでいます。
そういうことなんです。ハイ。
このお話には、まだまだ続きがあります。
「後日談」です。よろしかったらぜひお読み下さい。別名『新婚編』です。
ああ、どこまで続くんだろう、このふたりは──
作品名:【Secretシリーズ 4 】 帰り道 作家名:sabure