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caramel

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それから司令部までの車内3人の空間はしんどかった。
俺が逃げないようにとか、わざわざ迎えに来たんだ感謝するんだなとか、
今の俺にはもはやどうでもいいことを大佐がしゃべってる。

全部を適当に頷き、聞き流した。
大佐の声がうっとおしく感じた。

このまま嫌いになりたい。


『大佐が迎えにきたよ』
・・嬉しく思った俺が一番ムカつく。



中尉が車を置いてくるというので、
司令室まで大佐と二人になった。

「随分機嫌が悪いようだな。」

「・・・まぁな。」

「何時もの事だがな。」

「はいはい。」

「だが、静かなのは珍しい。」

「別に、そうでもねぇ。」

「そんなに嫌か?」

「・・・・。」

「だが、雑務を全部終えるまでは行かせないからな。」

「・・・分かってるっつの。」


大佐はよく何かを含めたような聞き方をする。
その度に俺の心臓が小さくなっていく気がする。
大佐も中尉も鋭い人だから、いつ俺の気持ちがバレてもおかしくないと思う。

「なぁ大佐、」

「なんだ?」

「雨降らねぇかな。」

「・・・君ねぇ、」


でも、俺は素直にならない・・・・なれない。
だからきっと大丈夫。


本当は素直になりたいけど・・・。



向き合うと決めた。
でも、向き合うって何をしたら良いんだ?
大佐が優しく中尉を見つめるその姿を見続ければ良いのか?
俺のこの気持ちが消え失せる日まで見続ければ良いのか?
だってこの気持ちが報われることはない・・・・


「なぁ大佐。」

「今度は何かね。」

「大佐にとって俺って何?」

「・・急に何を言い出すんだ?」

「ただの駒か?」

「・・・そんなわけないだろう。」

「じゃあ何?」

「君は私の大事な部下だ。」


大事な部下・・・か。
やっぱり俺はそれじゃ『不満』を感じる。
すごく嬉しいのに、それじゃ物足りない。
もっと傍に・・・・



「じゃあ俺にとって大佐って何だと思う?」

「そうだな・・・ん?あぁ中尉、ご苦労だったな。」

「いえ、それより例の件ですが――――



俺の前を二人が歩いて行く。
俺の存在が消えていく・・・・

あの間には入れない。
だってこうも簡単に忘れられてしまう。



本気だから、向き合いたいのに。
本気だから、大事にしたいのに。

二人の姿を見つめる俺はあまりに醜くて・・・・
『大佐のことが好きな俺』を嫌いになってしまう。


向き合うことなんて・・・無理だよ。




作品名:caramel 作家名:おこた