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綾沙かへる
綾沙かへる
novelistID. 27304
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その重みと命の重みは同じもの?

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 腰を下ろしていたベッドから立ち上がり、軽く首を回した。
 この艦に来たのは定期連絡のためだ。勝手に自分の搭乗機のカラーリングを変えた隊長のお陰でもっともらしい理由と共に連絡係を仰せ付かった。そのせいでザフトレッドから降格処分になったというのに、皮肉な話だな、とイザークが面白くなさそうに呟いたことを覚えている。
「…そっか」
 ほんの少し寂しそうに呟く。
「また来るよ。暫くパシリ続行だろうからさ」
 言いながら俯いたキラの頭を軽く叩く。
「…用意、しとこうかな、今度」
 ぽつりと小さな呟きが聞こえた。何を、と聞き返すと、先ほどまでのしんみりした微笑ではなく酷く楽しそうな笑みを浮かべてキラは顔を上げる。
「パイロットスーツ」
 オーブのデザインで、一番似合いそうだと思う色で。極上の笑みを浮かべて軽く紡がれるその言葉を、本当に実行できる立場にいると言うことをキラはよく分かっている。
「…お前ね…」
 冗談言ってる場合かと溜息交じりに苦笑すると、本気だよ、と少し拗ねたようにキラは答える。
「それだけじゃなくて、制服もムラサメも…」
 全部、と消え入りそうな声で続けて微笑う。
 ようやく、キラの言いたいことを理解した。オーブに来いと、つまりはそう言っているのだキラは。
「…考えとく」
 苦し紛れにそれだけ言って、額に口付けを落とした。

狭いコックピットに収まって、長い溜息を吐いた。大切だと想う人の傍にはいたい、けれど、その人を守るためにこの場所に戻ったのだから、今更そんな理由でハイそうですかとまた向こうに行くことなんて簡単じゃない。けれど、頭の片隅でそれをしっかりと考え始めているのも事実だ。
「…勘弁してくれ…」
 見送ってくれた瞳が揺れていた。
 難しすぎて、答えなんか出ない。