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綾沙かへる
綾沙かへる
novelistID. 27304
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君の隣で、夜が明ける。03

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 そう言ったキラの動揺を楽しむように、フラガは目を細めた。
 「うん?探してるんだろ?これ終ったら教えてやるよ。」
 そう言って楽しそうに笑った。

 手早くシステムの調整を終らせると、フラガに教えられた通りにその場所に向かう。どうしてあの人がそんな事を知っているのかはともかく、けしていい記憶が残っているわけではないはずのその場所に足を運ぶ彼の方が不思議に感じる。それを聞いて、そこに向かう自分自身も。
 そこに近付くにつれて人気がなくなる通路に、固い足音が響く。視線の先には、開いたままの扉。固く閉ざされているはずの扉が開いていると言うことは、フラガの予想が正しかったのだと言う証拠。扉の向こうは闇が蟠っていて、その先は分からない。
 この艦にもこんな施設が存在するのだと言うことを初めて知った。もしかしたら、自分が最初にここに居たのかも知れない部屋。戦争中だからと言っても、あまりいい気分ではなく。微かに眉を寄せて、キラは開いたままの扉から薄暗いその先の通路を覗き込んだ。
 艦の最下層。窓もなく、小さなライトが弱々しく灯るだけの暗いスペース。
 その中で、探して居た人は静かに佇んでいた。
 冷たく固い鉄格子に手のひらと額を押しつけて、目を閉じて。
 その姿は、まるで祈りを捧げているようだと不意にキラは思う。
 切ないほど綺麗に見えて、呆然とただ立ち尽くしていることしか出来なかった。