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Song for you

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週末の夜、若い魔法使いや魔女が集まる非公式なパブに、ハリーはひとりで訪れていた。

テーブルが並び、気のあったグループがそこここで酒を酌み交わしながら、おしゃべりを楽しんでいる。
幾分暗い店内は心地いい、ゆったりとしたムードが漂っていた。

彼がひとりでここを訪れたのは、シェーマスたちが別のクラブに行ってしまったからだ。
あのうるさい音楽に身を任せて誰かを誘うことに、もう自分は飽き飽きしていた。
だから、誘われても、今夜はそのグループに混ざらなかった。

踊ってさえいれば、相手には事欠かなかったし、誘えばすぐにOKが出るのが悪い訳じゃない。
軽い関係はつまり、出会いの手軽さいっしょで、すぐにどちらかが飽きて、あっけなく終わってしまうことに、ハリーはうんざりしていた。



人ごみを縫うようにカウンターに向かい、飲み物を注文して、そこのスツールに腰掛ける。
ラガーの喉越しを楽しむように、一気にパイントグラス半分まで飲み干すと、満足気にため息をついた。
こうしてアルコールがからだ中に行き渡り、酔いが回ってくるのを、ぼんやりと待つのがとても好きだった。

明日は休日で何も予定がない。
尻軽な恋人とは2週間前に別れたばかりで身軽だったし、夜はまだこれからだ。
ひとりだというのに、なんだか幸せな気分が満ちてきて、ハリーは少し笑いたくなってくる。
しかし、ここで一人でニヤニヤしていたら他人にはとても変なヤツに見えてしまうだろう。
口元がむずむずするのを引き締めて、また一口グラスを傾けた。

この店には最初気付かなかったけれども、ステージがあり、そこでちょっとしたバンドが会話の邪魔にならない程度の音量で演奏をしていた。
何曲かメロディーのみの曲が続き、少し間をおいて軽い拍手が起こった。
新しいグループに変わったのかもしれない。
ハリーはそちらには目を向けず、スツールを回転させて逆のテーブルのほうへと目を走らせた。

誰かいい相手でもと思っても、テーブルはグループかカップルのみで埋め尽くされている。
自分のようなひとり者など、ほとんどいない。
それはそうだろうと、ハリーは首を振る。
ここは会話を楽しむための場所だ。
出会いを求めるなら、やはりクラブのほうが正解だろう。
分かりきっていたけれど、今夜は自分が選んでここに来たのだから、大人しくアルコールを楽しんでから帰ろうと思った。

空になったグラスを渡し、新しい飲み物を注文して、それに口を付ける。
背後からギターの演奏と共に、柔らかい絹のような声が響いてきた。
新しい演奏が始まったのだろう。
少しかすれたように、耳元で囁いているような声が心地よかった。
別段ギターテクニックが上手なわけではなく、声も朗々と響くような大きくて伸びのある歌声では決してなかった。
しかしそれは、このざわついているパブの中で目立ちもしないけれど、聞いていると耳障りがとてもいい。
ハリーはゆっくりとステージへと顔を向けた。

スポットライトに照らされて、椅子に座り、ギターの弾き語りをしている相手を見て、ハリーは一瞬固まってしまった。
手に持ったグラスをすべり落としそうになり、慌ててそれを握り直して相手をじっと見詰める。

自分が座っている場所からステージはそう遠くなかった。
ステージの片方の壁に沿うようにカウンターが作られていたので、どちらかというとハリーのいる場所は舞台のかぶりつきという場所だ。

あんぐりと口を開けてステージを見詰めるハリーの視線の先に、ドラコが座ってギターを弾いていた。
やがて顔を上げたドラコも相手に気付いたらしい。
ドラコは小さく苦笑すると歌を歌いながら、じっとハリーを見詰めてギターを爪弾き始める。
手元を見ることもせず間違うことなくコードを押さえて、声は魅力的だった。
ドラコはハリーと視線をからめながら、歌い続けていく。

そうして一曲が終わり小さな拍手のあと、もう一曲歌い始めると、流れてきたフレーズはバラードソングだった。
哀愁を帯びたスローな曲とかすれた声はセクシーだ。
ドラコはスポットライトの光を受けて、瞳がキラキラと輝いている。
着ているグリーンのシャツが瞳に映りこんで、とてもきれいだった。

ドラコは間奏で俯くと、自分のギターテクニックを少しばかり披露すると、そのまま2コーラス目へと移っていく。
少し唇が乾いたのか舌で上唇を舐める仕草に、ハリーは下半身がうずくのを感じた。
ドラコは曲の合間に軽くハリーにウィンクをする。
せわしなくグラスのビールを飲んでいたハリーは息が詰まり、危うく噴出しそうになってしまった。
少しむせて咳き込む。
ドラコは舞台の上から面白そうに、そんな成生を見守っていた。

そうしてその曲が終わるとドラコは軽く頭を下げて拍手のなか、ステージを下り舞台袖に消えていった。


作品名:Song for you 作家名:sabure