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大好きなあなたと

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「私と奥水とで、か?」
「ヤシロも大好きな蘇芳様の為に何かしたいんです、旦那様」

 訝しげな声をあげた叔父と、その前できらきらと瞳を輝かせている恋人をはらはらと交互に見遣る。
尊也さんが変な顔をするのも無理はない。
ヤシロさんは尊也さんにとって使用人であり、給金を渡す人間だ。
その人が自分とお金を出しあって、甥――俺に例の大きめの家具か雑貨をプレゼントをしたいと言うのだから、まぁ、妙な顔にもなるだろう。
 じ、と俺とヤシロさんに見つめられること数秒。
その間何を考えていたのかは不明だが、不意にちらりと俺を視線で撫でた叔父が、表情を崩して、笑った。

「……まぁ、いいだろう。よろしく頼む」
「きゃっほーい!」

 はしゃぐヤシロさんにやれやれと苦笑を込めたため息を零してから、叔父が改めてこちらに向き直る。
ヤシロさんも俺へと身体を向けて、男前二名の視線の集中に思わず背筋が伸びた。
にこり、にこにこと両者から浮かべられた笑みに、冷や汗が背筋を伝ったのは、何故だろうか。

「その分、遠慮しないで好きなものを買いなさい。この家で長く使う、良い物を」
「――あ!」

 尊也さんの言葉にすぱん、と頭を叩かれたように思い出したことがある。
すっかり頭から飛んでいたが、この二人がまさかお互い少なめに出しあって一人分に妥当な金額を提示するとは思えない。
それはつまり、二人が「良い物」として認める物の、下限金額が上がったということを意味している。

「さて、何がいいのかな」
「頑張って選びましょうね、蘇芳様」
「あああああの」
「うん?」
「どうしました?」

 がしかし、最早この二人を止められるわけもなく。
叔父と恋人から注がれるあたたかな視線に、俺は困ったように、隠し切れない嬉しさを込めて、笑った。

「――ありがとう、ございます」

作品名:大好きなあなたと 作家名:コウセ