二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

死亡原因

INDEX|1ページ/3ページ|

次のページ
 
ベットに手をつき、ゆっくりと体を屈めた。

緊張から指先が微かに震える、それがスザクに伝わって起きてしまったらと想像するだけで、さらに鼓動が速くなり、震えが増してしまう。

勢いだ、勢いなんだこれはと言い聞かせるがどうしても踏ん切りがつかない、どこかの中学生かと鼻で笑う自分がいる一方で恥ずかしさのあまり逃げようと言ってしまっている自分もいる。

それもそうだ、何故キスしようとしているんだ俺は。

べつにキスなんぞしなくても、スザクとの関係が変わるわけでもないし、寝ているのだからキスをしたこと自体スザクは分からないだろうし、むしろ知っているのは俺だけだ。

それなのにキスをする理由なんてあるのだろうか・・・俺がキスをしなくたってスザクは俺に愛を与えてくれる、そう溢れんばかりの愛を。両手でも持ち切れないと言ったら、じゃあ愛で溺れてよ、と簡単に言ってしまいそうなほどの愛を俺に与えてくれる。

そんな愛の注ぎ方にバカかと呆れる一方どうしようもなくそれに満たされている自分もいる。

きっとキスしようと思ったのはそんな受け身ではいけないと思ったからだ、金魚鉢で優雅に泳ぐ金魚のように主人に愛相もなく涼しげに尻尾を振っているだけではなく、顔を見た瞬間くるりと回りだすような、思わずガラスに顔をぶつけてしまうような、もっと可愛げのある行動をしなくてはと無性に心がざわついたからだ。

昼間出かけるんじゃなかった、そしたらこんなざわついた感情を持つこともなかっただろうに。

そこには当たり前に男女が並び、男が腕と体の間に隙間を開け、女が男の腕に手をまわし、寄り添う姿があった。それはごく自然な光景で、周りを見ても形は違っても男女間の空気は同じだった。ただ、俺たちだけ違ったんだ、少なくとも男同士という時点で既に違っているのだが、明らかに空気が違った。

その正体がなんなのかずっと考えてはいたが、ようやく分かった気がする。

俺は与えてもらってばかりだってことに。

恋愛とはお互いが想い合っているからこそ成り立つものだと認識はしていた、そういう知識はあった。

だがしかし、それが実際の行動に起こせるかと言えばそうではない、現に心がざわついているというのはできてないということで、自分で自分を非難している。こんなにも愛を貰っているのに、自分は愛を与えないのかと。


そのためにキスをしようとしていると思うと酷くその様が滑稽に見えた。

所詮、自分は自分が好きなんだ、自分が罪悪感から逃げたいがためにこうやってキスしようとしている。

そう思うとキスするという行為自体が酷く陳腐なもののように見えた。こんな唇を合わせた動作だけで愛を表すなんて、愚かでしかならない。

作品名:死亡原因 作家名:あきあ