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こらぼでほすと 闖入2

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寺は基本、オールセルフサービスなので玄関で挨拶しても、誰も出て来ない。だから、気にせず、そのまま廊下を突き進むのが正しい寺での行いだが、さすがに、今回ばかりは、ニールが飛んで来た。
「いらっしゃいませ。」 と、ぺこりと頭を下げると、亭主の上司様ご一行は、ほおーと立ち止まる。さらに、背後から八戒が顔を出して、「お疲れ様です。」 と、微笑んでいる。
「本当に西洋美人だな。」
 金蝉が感心したように呟く。一応、三蔵から容姿は聞いていたが、本当に、そのまんまだとは思ってなかった。
「面食いなんですね? 三蔵。」
「てか、この美人を、どうやって口説いたんだ? あいつ。」
 三人三様のご意見だが、ニールのほうも、相手を見て、ちょっとびっくりした顔だ。もっと、年配の人物を想像していたのだ。だが、三人とも、自分とあまり変らない位にしか見えない。二十代後半から三十代前半といったところだ。
「三蔵より優雅な感じでしょ? ニール。まあ、入ってもらいましょう。紹介は、一服していただいてからのほうがいいですから。」
「ああ、そうですね。すいません、こちらへどうぞ。」
 八戒の助け舟で我に返って、居間へ案内する。悟空は、すでに居間へ入って、廊下に顔を覗かせていたりする。



 一同が卓袱台の前に落ち着いて、お茶で一服すると、ようやく挨拶が始まるのだが、ニール以外は、馴染みの顔だから小難しいものではない。「おう。」 とか、「あー」とか、実に適当に声を出して手を挙げるなんてことになる。名前も何もわからないので、とりあえず、名前は告げてもらった。金髪に紫紺の瞳が、三蔵の直属の上司である金蝉で、割と寡黙ならしく、これといって喋らない。短い黒髪のほうが、捲廉、長い黒髪にメガネのほうが、天蓬だと言う。
「ニール・ディランディーです。・・・・みなさん、お若いんで、びっくりしました。三蔵さんより、もう少し年上の方たちなんだろうと想像してましたので。」
 と、ニールが素直な感想を言葉にしたら、なぜか、全員、噴出して下を向いて肩を震わせた。
「あれ? 俺、何かおかしなこと言ったか? 悟空。」
「・・・・ううん・・・うん、見た目な。うん、みんな、若いんだ。ぎゃあははははははははは。」
 堪え切れなくて、悟空が笑い転げている。なんせ、見た目には同じくらいの年齢だが、年の差は千年単位だ。そりゃ笑いたくもなる。悟空ですら、ニールとは数百年以上の年の差がある。
「ぐっっ、いっいや、気にすんな、ママニャン。あんまり素直なご意見なんで微笑ましいって笑ってるだけだ。」
 悟浄も、そうフォローするのだが、ぐっと笑いを堪えている。その悟浄の頭に、スパーンとハリセンを叩き込んで、捲廉が、「嬉しいねぇー。」 と、笑っているし、さらに、やっぱり肩を震わせている三蔵に、捲廉から取り上げたハリセンで一発、お見舞いして天蓬も微笑む。
「年齢的には、あまり変りませんよ。えーっと、ニールさんとお呼びすればいいですか? 」
「呼び捨てで結構です、天蓬さん。・・・あの誤解されてると思うんですが、俺、寺の女房はしてますが、そういう関係じゃないんで。」
 なんか痛い誤解があるのだろうと、ニールが切り出したら、はいはいと天蓬が頷く。
「さあて、メインイベントに参りましょうか? 三蔵、職場結婚だとは伺いましたが、どうやって口説き落としたんですか? 」
 いきなりの天蓬の質問で、三蔵が、「はあ? 」 と、顔を上げる。口説き落としたことはない。とても気のつく世話好きな男で、ひとりにしておくと碌なことをしないから、寺に住まわせたが正解だ。
「ママニャン、口説かれてたな。」
「あれは、ある意味、口説き落としたになるかもしれませんよ? ニール。」
「そうなるのかなあ。」
「なるんじゃね? さんぞーが、がんがん電話して、ママを呼んでたじゃん。」
 その当時の所業を考えると、確かに、口説き落としたになるかもしれない、と、三蔵以外の面子は思い出す。子猫たちがいなくなれば、寺に来い、と、散々に呼びつけて、己の世話をさせていたのだ。
「猛烈アタックで落としたのか。やる時はやるんだな? 三蔵。」
 けけけけけ・・と、捲廉は大笑いするし、金蝉もニヤニヤと笑って三蔵を見ている。実際は、アレハレルヤロストで別荘に置いておけなかったり、本山への出張で寺が不在になるから頼んだりという用件もあったのだが、そこいらはスルーだ。何もなくても呼びつけていたのは事実だ。おもに、三蔵が自分の世話をさせるために、だ。
「じゃあ、プロポーズの言葉は? 」
「天蓬、おまえ、頭がイカレてんじゃねぇーか? 俺は、そんなことは言ってねぇ。」
 坊主は全否定の体勢だが、女房が裏切る。うーんと考えていたが、『「うちでサルの世話でもしてろ。」だったかなあ。』なんておっしゃる。事実そう言われて、ニールは寺に同居することになった。
「あれは、おまえがっっ。」
「ここに住むことになったのは、あんたが誘ってくれたからだから、そういう意味ではプロポーズでしょ? 」
「ひとりにしておくと、碌なことしやがらねぇーからが理由だ。プロポーズじゃねぇ。」
「はははは・・・わかってますよ。誘ってくれて感謝はしてますから。」
「当たり前だ。うちで、だらだら女房やってりゃいいんだ。」
「はいはい、そうさせてもらいます。でも、それを女性に言ったら、プロポーズですからね? 気をつけたほうがいいですよ。」
「おまえぐらいしか言わねぇーから安心しろ。」
 一連の応酬は、いつもの寺夫夫の会話なのだが、普段を知らない上司連中はびっくりだ。
「悟空、あれ、日常会話なのか? 」
「うん、いつもあんなだ。仲いいだろ? うちのおとんとおかん。」
「てか、あれ、本物じゃないか。冗談だと思ってたぜ。」
「本物だけど、どっちもノンケでさ。そういう気分にならないんだとよ。どう思う? 捲廉。」
「八戒、やり方の指導ぐらいしてやったら、どうです? 」
「それなら、天蓬さんにお任せします。僕より経験はあるんだから、痛くない方法を教授してあげてください。」
「悟浄、下手だったんですね。それは可哀想に・・八戒。初めてでも時間をかければ痛みはないんですよ。・・・あ、そうか。若かったんですか? 悟浄。堪え性のない男なんて嫌われますよ。」
「おいおいおいおい、聞き捨てならんことを言いやがったな? 誰が、堪え性がねぇーんだよ。元の職業ジゴロの男に、なんちゅー暴言を吐いてやがる、天蓬。」
「最初ですか? どうだったかなあ。もう古すぎて覚えてないですね。」
「こらこら、八戒さん。」
「僕も、どうだったかなあ。まあ、荒くれ者だったから、最初は流血の惨事だったかもしれません。」
「待て、天蓬。そこで、おかしなことを吐くな。」
「なんだ、最初は下手だったんだな? ふたりとも。」
「「悟空っっ」」
 ぎゃーぎゃーと悟空を交えて、二組の夫夫の応酬が始まっている。いつものことだから、誰もが笑っているだけだ。
「金蝉さん、お茶のお代わりは、いかがですか? ほうじ茶よりウーロン茶のほうがよかったら用意しますよ? 」
作品名:こらぼでほすと 闖入2 作家名:篠義