こらぼでほすと 闖入2
「そうだよなあ。でも、ハイネ、口説き魔モードの時は、デレてるかもしんない。」
「あーそうかもなあ。うちの客は、慣れてるから、あれを笑いとして受け取ってるけどさ、あれ、素人がやられたら危険なんだろうなあ。」
酔っ払って口説きモードに入ると、とてもいい声で、とてもいい台詞を囁いてくれる。ただし、当人は記憶に残らないので、口説いている記憶はないという怖ろしい代物だ。客もスタッフも、それを知っているから、楽しんでいるだけで済んでいる。
「おもしろいんだが、俺を口説かれてもなあ。」
金蝉も、何度かやられているが、ウザいと思うぐらいだから、苦笑している。本山の寺院の僧侶たちは、ちよっと危なかったらしいという報告は受けているが、誰もが、それをおもしろがっているだけで、クビにするつもりなんて、ちゃんちゃらなかったりする。
「上司を口説くか? 三蔵さん。」
「口説いてねぇ。」
「ニールは口説かれてないのか? 」
「何度かやられてますが、あれは別人だから。ははははは。」
「俺もやられてるよ、金蝉さん。最初は、ぶっ飛びそうになった。」
「店でやられてないのは、少ないよな。トダカさんなんか、毎日だ。」
カウンター越しに口説かれているトダカは、毎日のようにやられているが慣れたものだ。適当に相槌をうって、スルーする。意外とやられていないのは、悟空やらの対人間チームの面々だ。そこいらは、記憶がなくても避けるらしい。
作品名:こらぼでほすと 闖入2 作家名:篠義