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想いの行方

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Prologue




自覚した瞬間から、決して叶わない想いだと分かっていた。

この想いは、諦めなくてはいけない。
この想いは、捨てなくてはいけない。

そう思って、必死に努力した。

適度な距離を保って。
或いは、勉強に集中するフリをして。

そうして、10年近く経って―――ようやく。
ようやく、想いを振り切れるかもしれないと――――思えるようになった、のに…。

自分じゃない誰かの傍で、
自分じゃない誰かを見て、
自分じゃない誰かに笑って、
自分じゃない誰かに想いを寄せて、
自分じゃない誰かを伴侶としても、

きっと、笑える。
きっと、耐えられる。
きっと、祝福してあげられる。

そう、思って――――――いた、けれど…。


それは全て、自分とは違う道を―――自分とは決して重ならない道を進むと思えば、こそ。


でも、進む道が重なるというのなら。
荊の道と知ってなお、同じ道を進むというのなら。

離さないから。
逃がさないから。

覚悟してね―――――――――兄さん。



作品名:想いの行方 作家名:焚壟 葵