DFFで小ネタ
「放せ、ジタン! そいつがオレのボコを!」
「だからみんな、バッツを」
「そっスよバッツ、ザナルカンドにはシンにつかまらないと行けないし、チョコボイーターならオレがやっつけちゃったし!」
「はなせぇぇぇ」
両側から武器をはぎとり、羽交い絞めにしてもなお暴れるバッツに、ちょっと天に舞わせちゃおうかな、とかセシルが思った、ちょうどそのとき。
ふと、秩序の領域が暗く陰った。
「走れ、光よ!」
意味もなく凛とした気合の声と共に、言葉どおり、白い地面を割るように走った光が、ひとかたまりになって騒ぐ6人+1人をいっしょくたにロックしている。
「うわっ」
「マジかよ」
「ふん」
「おおっと」
「……!」
とっさに避けた5人の間を駆け抜けた光は、
「うわーっ!!」
「終わらないで、くれ……オレの出番……」
軽く正気でなかった2人に直撃した。
「……リーダー」
「何を騒いでいる」
「いや、バッツがさ」
「チョコボに乗りたいって暴れてて」
「(暴れだした原因はティーダだろう)」
「……ハァ」
「ふむ……」
現れるやHP攻撃を放った光の戦士は、あごに手をあてて考え込み、ブレイブ回復終了の音と共に、うなずいた。
「ならば、これでいいだろう」
つかつかと倒れた二人に歩み寄り、フリオニールの上に手をかざす。
ばさばさばさ、と音を立て、そこから大量の、黄色い何かが降り注いだ。
「ってか、リーダー、それって」
「主に、オニオンナイトとティナが溜め込んだチョコボの毛、羽、尾だ」
「(どれだけ戦いまくっているんだあいつらは)」
「……で、何してるっスか」
「バッツは、チョコボに乗りたいのだろう?」
「でもリーダー。それ、ただのチョコボの毛まみれのフリオニールだよね?」
「気はまぎれるだろう。―――よし」
黄色い何かに埋もれたフリオニールの上にバッツを重ねて置き、光の戦士は重々しく、かつ満足げにうなずく。
その後ろでは、ジタンとクラウドが、ツッコミ役を押し付けあっていたが、くるりと彼が振り返ると、ぴたりと口を閉ざして視線をそらした。
「これで、あとは目を覚ませば問題ない。明日も戦いは続く、こんなところで騒ぐとコスモスの邪魔になるから、そろそろ休んではどうだ」
「はーいはい」
「OK……」
「了解」
「(言われなくても)そうする」
いろいろな意味で疲れきって、もはやツッコム気もなくジタンとティーダはバッツに合掌し、クラウドとスコールはMアクションでどこかへ行く。
「わかったよ。ところでリーダー?」
「何か? セシル」
「今まで、どこで何を?」
そして、ふと気になって聞いてみたセシルに、光の戦士はぴっと立てた人差し指で、真上を示した。
「この上で、コスモスの代わりに秩序の領域を照らし出していたが」
「……あ、そう」