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こらぼでほすと 闖入4

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日曜の夕方まで、遊び倒して、ご一行様は寺へ戻った。学生たちも、月曜から学校があるから戻っている。月曜になって、ようやく、黒子猫から通信が届いた。ただいま、アリューシャン列島を南下中という一報だ。
「到着は水曜あたりか。」
「んーそんなとこだろうな。フリーダムには、こちらへの誘導経路も入力されているから、ラボに近付けば判明するだろう。」
 虎と鷹が、その報告で、予定経路をパネルに映している。現在のフリーダムの位置は不明だが、そこそこの時間は割り出せる。それらを計算して、「ちょうどいい塩梅だ。」 と、虎は微笑む。三蔵の上司様ご一行は、木曜から特区の西に遠征する。それに三蔵と悟空も同行することになっていて、寺はニール一人が留守番することになっていた。さすがに、ひとりにしておくのは危険だから、ハイネが居候をして、シンとレイが泊まることになっているが、それでも日中は一人になってしまう。黒子猫が戻れば、そこいらも解消されるし、ニールもゆっくりと黒子猫と過ごせる。
「上手い具合に進行したな。」
「怪我の功名ってやつだけどな。せつニャンが戻って来るなら、ハイネは動かしてもいいな。ダコスタ、ストライクの整備を頼んでくれ。」
 本来の予定では、すでに刹那は、次の放浪に出ていたはずだが、イレギュラーな騒ぎで一ヶ月ずれ込んでいる。刹那が寺に滞在してくれるなら、ハイネは外へ出せる。軌道エレベーター周辺の探索を頼みたかった虎としては、刹那の帰還は有り難い。ダコスタに行かせるつもりだったが、ハイネの身体が空いているなら、フェイスの実力を発揮していただくほうが得策だ。
「アフリカンタワーは、警備もきついんだろ? 」
「だが、どうもきな臭い。そこいらは、チェックさせておくほうがいいだろう。あそこも、紛争のある地域だからな。」
「カタロンの演習風景ってーのは見られるものか? 虎さん。」
「中東ではやってるはずだ。そこいらの探りも入れさせておくか。」
 ネット上の情報では見られない部分は、実際に現地に飛ぶしかない。そこいらの担当はハイネだ。諜報活動はフェイスの十八番だから、そういうことになっている。
「年末には間に合うようにスケジュールを組ませる。ラボの留守番をさせなきゃならん。」
「はははは・・・そうだな。俺、明日からオーヴで護衛の仕事が入ってるから留守にするよ。何か、あちらでやっておくことはあるかい? 」
「うちのほうにはないが、トダカさんに確認しておいてくれ。お父さんのことだから、何かとこそこそやってるはずだ。」
「了解。」
 トダカも現役引退はしているが、ウヅミーズラブの面々と、いろいろと陰で画策はしている。そちらの用件があれば、手伝うのは鷹の担当だ。いろいろと経緯があって、鷹はオーヴの一佐の地位も持っているので、オーヴで動く分には不自由はないからだ。
「しかし、上司様ご一行は、さすが人外だったな。誰も敵わないって、どーだろ? 」
「しょうがないんじゃないか。俺たちは、元軍人ではあるが、肉弾戦なんて普段はしないんだから、その専門家には敵わないさ。・・・・その代わり、ゲームでは、キラが一番だったじゃないか。」
「まあ、そうなんだけどね。」
 武闘会では、テレビゲーム大会も催された。テニスの対戦では、上司様ご一行も、コテンパンに負けていた。金蝉にいたっては、まず、そのゲーム自体が理解できていなくて、ただゲームスティクを左右に振っているだけなんてことになって笑いが漏れたほどだ。電脳世界というものか存在しない神仙界のものには、ゲーム自体が初めてという代物で、そちらでは、みな、難儀していたところを見ると、やはり専門分野の問題ということになるのだろう。




 寺の居間では、童子様がおかしな格好でゲームスティクを振っている。対戦しているのは、悟空である。
「違うって、金蝉。スティクのボタンを押さないと打ち返さないんだってば。」
「お? おおっっ。」
 これならできるだろう、と、別荘でのゲーム大会に金蝉も参加したのだが、これが思ったより大変だった。というか、最下位だったのが、ちょっと悔しかったので、悟空と練習していたりする。月、火曜は、予約客もなかったので、三蔵と悟空はバイトを休みにした。捲簾と天蓬は、「ちょいとデート。」と、散歩に出ている。寺の女房は、そんな居間の声を聞きながら、食事の準備だ。通常メニューなので、焼き魚だの煮物だのというメニューを作りつつ、明日のおやつの下準備なんてものもやっているし、他にもいろいろと作り置きしている。というのも、水曜辺りから天候が下り坂だと予報が出たからだ。木曜から、上司様ご一行プラス三蔵と悟空は、特区の西に出かけるのだが、水曜が危なそうなので、そこいらの準備であるらしい。ニールが動けなければ、八戒がフォローはしてくれるだろうが、全部お任せというのも、寺の女房としては申し訳ない。適当に作り置きがあれば、何品か付け足すだけで済むだろうという算段だ。
 以前より身体は楽なのだが、どうしても雨だけはダメダメになる。発熱はしなくなったが倦怠感でグダグダになるのは、以前と同じだ。天候というのは予報より実際は遅れることが多いから、上手く遅れてくれれば、送り出した後で、ダウンということになる。
「三蔵、そこでバカにしてんなら、おまえが相手しろ。」
「へっっ、俺はお子様の遊びなんてやらん。」
「あーダメダメ、金蝉。さんぞー、こういうの下手っぴだから。」
「ああ? サル、それ、貸せっっ。」
「俺より下手だったら、一生もののネタだな? 三蔵。」
「てめぇーより下手なのがいたら、逢いたいぜ、金蝉。」
 どうやら、亭主まで乗せられてゲームに参戦だ。振どっちもり向いて観戦したら、どっちもどっこいどっこいの下手さ加減だった。体感型のゲームというのは運動神経とは連動しないものらしい。笑っているのが、バレると参加させられるので、ニールは適当に観戦すると料理に戻る。だが、聞こえてくる騒ぎに肩は震わせていた。








 翌日、捲簾が起きたら、悟空が台所で、ひとり、バタバタしていた。何事だ? と、首を傾げつつ、声をかける。
「午後から、たぶん雨。ママがダウンしてるんだ。」
 寺で一番早起きの坊主が起き出して、朝の勤行をやっているうちに、女房が起き出して、朝の準備をする。そして、最後に悟空が起きるというのが、寺の朝の光景なのだが、たまに、坊主の勤行が終っても、女房の寝ている脇部屋の障子が開かない日がある。そういう日は、どんなに晴天でも午後から雨になる。だから、坊主は女房は放置して、サルを起こして朝の支度をさせるという流れになる。もちろん、坊主は手伝わない。すでに卓袱台で新聞を読んでいる。
「雨か。なるほど、じゃあ、俺がやってやろう。」
「もう終った。昼は、捲簾に頼むぜ。」
「ニールは放置しといていいのか? 」
「うんにゃ薬を飲ませないとといけないから、お粥を食わせる。」
作品名:こらぼでほすと 闖入4 作家名:篠義