LittleLittlePrincess
「ウン、クマの目、確かだった! けど、センセイやヨースケの選んだ服のナナチャンもクマ見てみたい! ナナチャン、ボクのために着てみせて?」
「クマもこう言っていることだし、菜々子、着てみないか?」
「すみません。今のクマはスルーで俺の何が引っ掛かったんでしょうね那須センセイ」
俺とクマの要望に応えて再びカーテンの中へと引っ込んだ菜々子を見送り、俺は真横から寄越される怪訝とした目に肩を竦める。未だポケットに封じ込めたままの手は観念したのか大人しく、俺の手の中を温め続けている。口の方も素直に噤んでくれれば良いのに。
可愛い可愛い姫君も、下手をすると十歳年下の子どもより子ども体温な王子サマも自分のものであれば良いのにと、俺は何時までも何処までも都合の良いことを考えていた。
作品名:LittleLittlePrincess 作家名:桝宮サナコ