舞花~第一章~
プロローグ
『舞
花』
アメストリスには『花』と呼ばれる少年達がいる。
彼等は皆、芸を生業としている。
そして、彼等は『花祭』と呼ばれるパーティで芸を披露し、
自分の主となる『花主』が現れるのを待つ。
花は社交の場では花主の宝石となり、それ以外の場では盾となる。
花主は自分にふさわしい花を選び、芸の精進のために投資する。
そして、花の質を競いあうのだ。
その結果、花は花主の品格をうつす鏡と呼ばれるようになった。
ふさわしくないと判断された花は無常にも切り捨てられ、
最高の花を求めて、次々と花を取り替える花主も多かった。
花にとっては芸が全て。芸の技術の高さが花の価値。
たとえ花主を守る力を持っていたとしても、芸が出来なくては意味がない。
過去に一度でも花主に切り捨てられた経験のある花は、花として生きるのは難しくなる。
一度捨てられた花を引き取る物好きなどあまり居ないからだ。
そして芸の出来ない花など
無意味な存在だった。