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ねぎにゃん
ねぎにゃん
novelistID. 26676
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腕時計

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新しい着替えが入っていたが、そうしなかった。今日一日、これを着て
過ごせば、妻の洗濯の負担が減ると思ったからだ。
明日も天気が良ければ、家族を連れて遊びに出掛けてもいい。
だが、その前に、いま目の前にいる、この男──山中と、今日の
好天気を楽しもう。そう考えた。日没まで、布団を干して取り込んで
買い物に行き、近所を散策し、食事をつくり、食べる。当たり前の事を。
そして山中のマンションで妻子のことを考えてしまう私は、きっと
自宅へ戻ったなら、一人このマンションで過ごす山中を想うんだろう。
あるいは、妻を抱きながらでも。


腕時計を忘れてきてしまったのに気が付いたのは、山中のマンションを
出たあと、タクシーに乗り込んでしばらく経った時だった。
こんな事は普段では絶対にあり得ない。
今朝、山中はきっと私と昼までベッドで過ごすつもりだったはずだ。
それを、まるで“いつもそうしている”ように、朝早くに目覚めて起床して
買い物をしたり食事を作ったり、布団を干したりした。
鎌倉の家では、いつも妻や母が行っていること。
山中は、一人で行っていることを。
今夜、眠る布団は二人ともふかふかなのだ、と考えると、少しだけ
救われたような気持ちになった。
そして腕時計も、山中のとぴったりと並んで、少しは彼を慰めるだろうか。

作品名:腕時計 作家名:ねぎにゃん