【亜種】ある雨の日、猫を拾った。
「ある雨の日、猫を拾った。」
『カイトじゃないなら、いらない』
それが、最後に掛けられた言葉。
昼から降り出した雨は、夕方になっても止む気配がない。
夕飯の支度を始めたアカイトは、窓辺に寄って、カーテンの隙間から空を覗いた。
この調子では、帰宅時間になっても止むことはないだろう。マスターが、折りたたみ傘を持っていったかどうかさだかではないが、なければないで何とかするだろうと、あっさり考えるのをやめた。
夕飯の支度を終える頃、アカイトの携帯電話が鳴る。
画面には、マスターであるユウジからの着信を知らせる文字が。雨に降られて泣きついてきたのかと、内心溜息をつきながら耳に当て、
「よう。傘持ってるか?」
『持ってるー。それより、あのー、今、駅まで戻ってきたんだけど』
「何だよ」
『あのさー、あのー、猫、拾った』
「は?」
『あの、猫、を、拾い、まして。つ、連れて帰ろうかなー、なんて』
「おい」
『面倒見る!ちゃんと面倒見るから!!お願いします!!』
「ここ、ペット禁止だろうが」
『だ、大丈夫!そこら辺は、あの、あれするから!』
この様子では、承知するまでごねるだろう。
アカイトは、はーっと溜息をついて、
「子猫か?」
『えーと、しょ・・・・・・あ、子猫、です。うん。でも、目は開いてるし!ご飯も、食べられる?食べられるよね?うん、大丈夫!』
「誰に確認してるんだ」
『と、とにかく、大丈夫!あの、身の回りのことは出来るくらい大きいから!』
「・・・・・・分かったよ。トイレと寝床は、あるもので何とかするから、とりあえず、餌だけ買って帰ってこい」
『缶詰でいいかな?』
「ああ、いいんじゃね?後は、明日買い出しに行くから」
『うん、分かった!ありがとうアカイト!』
ぷつっ。つーつーつー。
アカイトは、通話の切れた携帯を見つめながら、再度溜息を漏らす。
「ったく、馬鹿マスターめ」
ぶつぶつ言いながら、寝床になりそうな箱を探しに行った。
『カイトじゃないなら、いらない』
それが、最後に掛けられた言葉。
昼から降り出した雨は、夕方になっても止む気配がない。
夕飯の支度を始めたアカイトは、窓辺に寄って、カーテンの隙間から空を覗いた。
この調子では、帰宅時間になっても止むことはないだろう。マスターが、折りたたみ傘を持っていったかどうかさだかではないが、なければないで何とかするだろうと、あっさり考えるのをやめた。
夕飯の支度を終える頃、アカイトの携帯電話が鳴る。
画面には、マスターであるユウジからの着信を知らせる文字が。雨に降られて泣きついてきたのかと、内心溜息をつきながら耳に当て、
「よう。傘持ってるか?」
『持ってるー。それより、あのー、今、駅まで戻ってきたんだけど』
「何だよ」
『あのさー、あのー、猫、拾った』
「は?」
『あの、猫、を、拾い、まして。つ、連れて帰ろうかなー、なんて』
「おい」
『面倒見る!ちゃんと面倒見るから!!お願いします!!』
「ここ、ペット禁止だろうが」
『だ、大丈夫!そこら辺は、あの、あれするから!』
この様子では、承知するまでごねるだろう。
アカイトは、はーっと溜息をついて、
「子猫か?」
『えーと、しょ・・・・・・あ、子猫、です。うん。でも、目は開いてるし!ご飯も、食べられる?食べられるよね?うん、大丈夫!』
「誰に確認してるんだ」
『と、とにかく、大丈夫!あの、身の回りのことは出来るくらい大きいから!』
「・・・・・・分かったよ。トイレと寝床は、あるもので何とかするから、とりあえず、餌だけ買って帰ってこい」
『缶詰でいいかな?』
「ああ、いいんじゃね?後は、明日買い出しに行くから」
『うん、分かった!ありがとうアカイト!』
ぷつっ。つーつーつー。
アカイトは、通話の切れた携帯を見つめながら、再度溜息を漏らす。
「ったく、馬鹿マスターめ」
ぶつぶつ言いながら、寝床になりそうな箱を探しに行った。
作品名:【亜種】ある雨の日、猫を拾った。 作家名:シャオ