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【亜種】ある雨の日、猫を拾った。

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通話の切れた携帯電話をしまいながら、

「聞こえただろ?」
「はい」
「そういうことだから。これから、宜しくな」
「はい」
「帰るぞ」

アカイトはいろはの手を取り、二・三歩歩きだしたところで、足を止めた。

「・・・・・・いろは」
「はい」

何度か躊躇った後、ゆっくりと口を開く。

「好きだ。お前が、好きだ」
「・・・・・・・・・・・・」

しばしの沈黙の後、耳まで赤くなったアカイトがそろそろと振り向くと、いろはは自分の手で顔を覆っていた。

「・・・・・・何をしてる」
「何も見えません」
「当たり前だ」
「私も、アカイトさんが好きです。アカイトさんと一緒にいたいです」
「あ、ああ。うん」

アカイトは、がりがりと頭をかいて、

「馬鹿なことしてんな。帰るぞ」
「はい」

いろはの手をとって、元来た道を戻る。
青空は徐々に茜色と混じりあい、町には行く手を照らすように明かりが灯り始めた。



終わり