秋風-You&I
でも、その間に田島の吐息の熱が花井に伝わるようで、暖かくって、甘くって
花井は満足そうに笑うと田島から離れようとする・・・・・・が、
急に、腕を引っ張られ
声を出す暇も無いほどに、深い口付けに襲われる。
「…っ……んぁ…っ」
舌先で口内を蹂躪され、予期していなかった所為か、それだけで力を奪われて…
花井は、その場で腰が抜ける。
「花井感じちゃったぁ~?」
花井が赤面し、顔を上げたその先には、
今の行為で、口元に漏れ出た唾液を、自らの指で拭う田島が居て、
いたずらが成功した子供のような目で花井を見ていた。
「お、おまっ・・・狸の寝入りしてたのか?」
「ん~ん。花井のキスで目が覚めちゃった。これって俺が眠り姫で花井が王子様みたいだよな」
そう言われて、羞恥で赤面し田島を軽く睨む
「花井?」
「これ以上なんかするんだったらもうお前んちいかねぇぞ」
「え・・・・・・」
田島がマジで固まる。
「なんかするつもりなのかよっ?!」
「やっぱり好きな奴が一緒にいて手を出すなってほうが無理あるよ~」
「我慢できないなら俺は帰る」
「えぇ~・・・んじゃキスまでならいい?」
田島がすがるような目で見てくる
「う・・・・・・」
「だめぇ?」
こういうとき花井は本当に甘いところがある。
「絶対だな?」
花井がため息混じりに言う
「おぅ!」
田島が目をキラキラさせながら返事をする
「分かった部誌も書き終わったことだからお前んちに行ってやる」
「やったー」
「でも今度は俺んちに泊まれよ。
飛鳥たちも田島に結構なついてたし、また来てっていってたぞ」
「えっ?家族紹介?? 俺恥ずかしぃ~」
その場で田島が体をくねくねさせる。
「俺、ちゃんと花井がほしいですって言えるかなぁ・・・」
「おいおいおいおい!何いってんだ?! そんなことしなくていいよ!」
「そう?残念」
「さっさと行くぞ」
「はーい」
田島が花井の腕に絡みつく
一瞬引っぺがそうと思った花井だが田島があまりにも嬉しそうにしているので
花井もうれしくなりそのままにしておいた
その後花井がどうなったかは言うまでもなく――――――・・・でした。