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こらぼでほすと 闖入7

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平日のリニアは予約が埋まっている事が少ない。それも、午後の中途半端な時間なんてものは、旅行客は使わない。だから、駅で予約しても、グリーン車が取れてしまう。沙・猪家夫夫は、そのグリーン車で、特区の西に出向いた。夕方には着けると、メールしたら、駅で待ち合わせようという捲簾からの返事が来た。
「夕食を一緒にして、宿へ案内してくれるってとこですか。」
「そういうとこだろうな。・・・・どっかで抜け出す算段はしとこうぜ、八戒。」
「・・・・それ、無理じゃないですか? 悟浄。たぶん、捲簾さんも同じこと考えてそうな気がしますよ。」
 これまでの一週間、捲簾が添乗員よろしく仕切っていたはずだ。仕切りのできる八戒が合流してくるとなれば、あちらが自由時間を取るつもりだろう。
「別に、一日二日くらい、三蔵と金蝉と悟空だけでもいいじゃないか。子供じゃねぇーんだからさ。うちだって、夫夫でゆっくりさせてもらいたいぞ。」
「とは言ってもね。あちらさんは、久しぶりの休暇みたいなもんでしょ? 僕らのように、有給があるわけでもないし・・・こういう場合、僕らが引くべきだと思いますけどね。」
 上司様ご一行は、神仙界に居る間、休暇なんてものは、基本的にない。逆に、二、三日休むと宣言して休みは取れるだろうが、それだって、なかなか難しい。完全休養なんてものは、難しいはずだ。それを考えると、こっちの自由時間なんてものを主張するのは申し訳ない気がする。
「あのな、八戒。うちだって、有給なんてあってないだろうが。再来年辺りは、確実に忙しいんだぞ。来年だって、なんだかんだと、MS組が動けば、店のほうは、俺らの段取りだ。どう考えても休めねぇーよ。」
「そりゃそうだろうけど。・・・・それ、ハイネから? 」
「いや、鷹さんから聞いた。」
 対人間チームには、そこいらのスケジュールは知らされていなかった。だが、悟浄が鷹から聞いていたらしい。黒子猫たちの組織が再始動すれば、『吉祥富貴』のMS組も動き出す。人命救助となると、その付近に、MS組も展開しておく必要があるからだ。そうなると、店のほうは、対人間チームで捌くことになるし、下手をすれば地上で、そちらのサポートの仕事も入ってくる。
「予想では再来年に再始動するんだとよ。そうなると、うちのも宇宙に上がるだろ? ・・・・店は休むかもしれないとは言ってたけどな。サポートの仕事があるんだ。」
「あーはいはい。そうなるでしょうね。うちは少数精鋭だから、人員不足になりかねません。」
 地上と宇宙の両方で作戦行動をするとなると、『吉祥富貴』のスタッフでは足りなくなる。そこいらの補助に、対人間チームが借り出されるのは、目に見えている。三蔵と悟空は、そちらには付き合えないから、必然的に、沙・猪家夫夫の担当だ。
 来年辺りから、何かと忙しくなるので、悟浄としては、ここいらで、ちょっとリフレッシュしたいのだ。だが、どっかの元帥様は、そう甘くないだろう。だからこその夫夫の打ち合わせだ。
「初日は付き合って、とりあえず、二、三日ドロンしようぜ? 八戒。・・・あいつらの追い駆けられないとこまで逃げればいい。」
「どこまで行くつもりです? 」
「温泉なんてどう? ちょっと変った色の温泉なんだけどさ。」
 ほれ、と、悟浄が胸ポケットから、パンフを取り出した。温泉の色が真っ赤なのが載っている。特区の西、大阪よりさらに西に、その温泉はあるらしい。
「予約したんですか? 」
「しましたよー明日から二泊。今夜付き合って、明日の途中で逃亡するってーのは、いかが? 八戒さん。」
 亭主は、こういうことには行動的だ。そういうことなら、ゆっくりさせてもらいましょうか、と、女房もノる。せっかくなんだから、のんびり夫夫で散策というのも楽しそうだ。


 しかし、敵も然るモノ。到着した京都駅で、いきなり、天蓬が言い出したことに、あんぐりと口を開けた。
「明日から、有馬温泉というところに遠征します。あちらに、中華街があるそうなんで、こちらの中華料理も味わってみようか、ということになりました。はははははは。」
「おまえらな、こっちの関係者って、情報網が半端ねぇーんだよ。悟浄が、予約したのを、すぐに知らせてくれたんだ。」
「なんかさ、真っ赤なお湯なんだろ? 俺、そういうの見たことねぇーから楽しみっっ。」
 きっちりと、チェックされていたらしい。金蝉が、「すまないが、付き合ってくれ。」 と、悟浄の肩を笑いながら叩いている。
「もちろん、あなたたち二人っきりの時間も作ってさしあげるつもりなんですけどね。こっそり逃亡されるのも、おもしろくないんで、目一杯邪魔してやろうと思いました。」
 元帥様は楽しそうだ。自分たちが三日ばかり逃亡していたのは、棚に上げている。さあ、今夜の食事場所に移動しましょう、と、歩き出す。ここから、さらに驚くことが始まったりする。



 特区の東では、おやつの時間に、キラとアスランが顔を出していた。大食漢の悟空が留守なので、おやつもちまちましたものが並んでいたりする。本日は、ちらし寿司と、お吸い物だ。ついでに、海苔巻きもある。ちらし寿司は、小振りの桶に用意されていて、各人で好きなだけ取り分ける方式だ。
「あれ? 生の魚は入ってないの? ママ。」
 キラは、しゃもじで、ちまちまと取り皿に盛り上げて、首を傾げている。キラの好きなちらし寿司は、魚介類が乗っかっているものだ。
「これは、八戒さんとこのやつだから入ってない。その代わり、焼き鯖をほぐして、酢飯に混ぜ合わせてある。こっちのほうが保存が効くんだ。」
 シンやレイも留守番に居座っているので、朝のメニューにも転用可能なものであるらしい。ちらし寿司も、バリエーションが多いので、ニールも、いろいろと試している。海苔巻きのほうも、かんぴょうや干しシイタケ、煮たニンジン、焼いたタマゴという陣容で、こちらも明日まで保つものだ。トダカは、こちらのほうが気に入ったのか、仕事の合間に食べようと持って行ったほどだ。
「なんか、俺より料理の腕が上がってませんか? ニール。」
「そうでもないさ。八戒さんのレシピに忠実に作ってるだけだ。和食っていうのも、保存が効くように考えられてるよなあ。これだと、明日の昼まで楽勝なんだからさ。」
「そうですね。特区は、昔、農耕民族だったから農繁期のメニューってことなんでしょう。」
 刹那は、海苔巻きが気に入ったのか、がぼっと齧っている。甘めの出汁で炊かれている具材と酢の効いた酢メシが、絶妙な組み合わせであるらしい。
 そこへ歌姫様ご一行が乱入してきた。明日も参ります、と、伝言していたから誰も驚かない。
「ごきげんよう、ママ。まあ、海苔巻きですか?」
「おお、ラクス。おまえさんも摘め。腹持ちはいいぞ、これ。ヒルダさんたちも、いかがですか?」
 いつものジェットストリームな護衛陣と歌姫様だ。イザークとディアッカは、いない。
「あれ? イザークとディアッカは? 」
「今日は、午後からオフでしたので、ラボのほうにMSの整備に参りました。キラ、同伴出勤させていただきますね。」
作品名:こらぼでほすと 闖入7 作家名:篠義