二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

こらぼでほすと 闖入7

INDEX|2ページ/5ページ|

次のページ前のページ
 

 ただいま、ラボのほうでは、世界情勢の解析を行なっている。それで、経過報告を聞きに、イザークたちは出向いている。キラも、ほとんど別荘のほうに滞在していて、今日は、寺のおやつにありつきたくて、早めに出て来た。そこいらは、寺の親猫には知らせていない。いただきます、と、歌姫様も海苔巻きにかじりつく。それを見届けてから、護衛陣も手を出す。
「カリダさんの味付けに似てますね。」
「そうなんだよ、ラクス。おいしいよね? ちょっと甘めなのが、僕も好き。」
 子供向けにすると、少し甘めの味付けになるのは、万国共通だ。そこへ、ワカメのお吸い物も運ばれてくる。
「こっちは塩味が効いててうまいよ、ママ。」
 ヒルダはもちらし寿司のほうを食べて、いいねぇーと頷いている。家庭料理でしか味わえないメニューなので、護衛陣にも好評だ。
「塩鯖を焼いてほぐしてますから、その塩味と脂が効いてるんですよ。夜食に、少し持って行きますか? ヒルダさん。」
「ああ、いいんだ。今夜は、あたしたちが、こっちに泊まるからさ。」
「はい? 」
「シンとレイはトダカさんと、トダカ家にお戻りいただいて、今夜は、私が泊まります。明日も夜の予定だけですので、少しママとのんびりさせていただこうと思いまして。」
「あーいいなあ。僕も泊まりたい。」
「うーん、人数的には、なんとかなるかな。」
「いやいやいや、待て待て、ラクス。おまえさん、着替えとか面倒だろ。たまには、本宅でゆっくり休めばいいんじゃないのか? 」
「ですが、長いこと、ママに添い寝をしていただいておりませんし・・・どうせならキラとも一緒に眠りたいのです。」
「ということは、客間が、ニールと刹那、キラ、ラクスだな。右の脇部屋にヒルダさん、左にヘルベルトさんとマーズさん、俺は悟空のベッドを借りるか。」
 アスランは勝手に算段をして、客間に赴こうとする。布団の準備をしておくつもりらしい。
「え? 」
「ちょうどいい塩梅だろ? たまには、変った面子に交代しないと飽きるじゃないか。」
「とはいっても、見慣れた面子だけどなあ。」
「違いねぇー。」
 ヘルベルトとマーズも相槌を打つ。歌姫様のスケジュールの隙間で、こうやって、キラを補充していただかないと、いろいろと厄介なことが起きる。ついでに、ニールも補充しておくと、歌姫様のキラ欠乏症が引き起こされる時間が延長されるらしい。一石二鳥を狙うと、こういうことになる。
「ママも出勤なんだろ? 俺とヘルベルトが留守番しててやるからな。」
 ジェットストリームな護衛陣は、端から、そのつもりだったから、気楽なものだ。ここから、『吉祥富貴』までの往復なら、仰々しい護衛は必要ではない。ヒルダとアスランで、どうにかなるので、留守番を担当する。ちゃんと、全員お泊まりセット持参だ。
「なあ、ラクス。俺は、前から言ってるよな? 男に囲まれて寝るって、あんまりいいことじゃないんだぞ? 」
 常識派庶民の親猫は、となりで海苔巻きを食べている歌姫様に、一応、注意する。緊急事態なら見逃せるが、わざわざ、泊まりに来ての所業は、どーよ? と、おかんとしては思うからだ。
「刹那は子猫。ママはママ。キラはキラですわ。殿方という認識は、ございません。」
「世間体ってあるだろ? 」
「ここに、そんなものはございません。」
「俺が襲ったら、どーするよ? 」
「ご自由に。これでも、コーディネーターですから、ママの腕力ぐらいでしたら撃退いたします。それに、他の殿方に、こういうことは強要いたしませんから。」
「当たり前だ。嫁入り前で、そんな環境に慣れるな。」
 歌姫様は楽しそうに、ニールの小言を論破する。誰も、そんなもの気にしていない。仲のいい親子の小競り合いという感覚だ。
「ママって真面目だよね? 」
「キラ坊や、これが世間一般の常識ってやつさね。まあ、うちでは通用しないんだけどね。」
 かかかか、と、ヒルダは豪快に笑っている。そんなこと、いちいち、気にするような人間は、『吉祥富貴』には存在しない。唯一、常識派のニールぐらいしか文句を言わないことだ。だが、それも、歌姫様にはいいことだと、護衛陣も思っている。ただの娘として、ニールは歌姫様のことを考えているから、そういう意見になるからだ。
「刹那、今日は一緒に寝ようね? 久しぶりだね? 」
「ああ。だが、ニールの右側は俺だ。」
「わかってるよ。そっちは任せる。じゃあ、僕、どこで寝ようかな。ラクスの隣りがいいんだけど。」
「私はキラとママに挟まれたいです。」
「じゃあ、僕がラクスの左側で、ラクスがママの左側ならいいんじゃない? 」
 癒しの二人に挟まれれば、歌姫様も安眠できるだろう。アスランですら、これには異論はないらしい。すでに、客間の準備をしているぐらいだ。
「まあ、いいじゃねぇーか。たまのことなんだからよ、ママ。」
「そうそう、ラクス様がリラックスしてくださるのが、一番だ。」
 まあまあ、と、ヘルベルトとマーズが取り成すと、ニールも仕方ないな、と、折れる。一人で表舞台に立っているラクスのストレスを解消してやるのも必要なことだ。この話は終ったな、と、ニールも話を切り替える。
「ヘルベルトさん、マーズさん、食事の種類は? 」
「ああ? 種類って? 」
「洋食、和食、中華あたりなら、冷凍しているので、お好きなものを用意して行きます。」
「和食の煮物とかいいなあ。」
「俺は、中華の一品が食いたいぜ。」
「了解です。肉じゃがと八宝菜辺りと、細かいのを準備しておきます。温めて召し上がってください。」
 寺の大型冷蔵庫には、いろんなものが冷凍保存されている。なんせ、いつ誰が来るのか不明だから、そこそこ準備しておかないとやってられないからだ。それに、寺の坊主が、唐突に、「あれが食いたい。」「これはないのか? 」 と、マイノリティー驀進なので、ある程度のものは準備してある。そのまま立ち上がって台所に向かうと、黒子猫も付いてくる。
「ん? 刹那も、夜食に何か食べるか? 」
「ドライカレーのオムライスがいい。」
「えーっと、オムライスにカレーをかけるなら大丈夫だけど。ドライカレーがいいなら、明日の昼にしてやるよ。」
「なら、昼でいい。」
「はいはい、お安い御用だ。でも、野菜も食えよ? それ、約束な? 」
「・・・ああ・・・」
 べたべたと纏わり付いている黒子猫と親猫の会話に、歌姫様は、「あー癒されますわー」 と、ニッコリ微笑んでいたりする





 上司様ご一行と合流した沙・猪家夫夫は、一端、荷物をホテルに置いて夕食に出かけることとなった。観光シーズンだというのに、いいホテルの部屋が確保されている。金蝉と、坊主、サルはスィートだし、捲簾、天蓬夫夫はジュニアスィート、そして、自分たちもジュニアスィートの部屋だった。
「いろいろと出入りがあるから空けてあるらしい。一息ついたら、晩飯に出かけるからな。」
作品名:こらぼでほすと 闖入7 作家名:篠義