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エミヤさん

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そこにひとつのきせきがおきました
あるまちで 7にんのえいゆうが 7にんのまほうつかいに しょうかんされたのです

あかいしょうじょのもとに エミヤさん
そう、みらいのえいゆうがしょうかんされたのです

そして
しゅごしゃになるまえのエミヤさんも
その7にんのまほうつかいのなかの ひとりだったのです


あかいしょうじょは エミヤさんにとって
とてもたいせつなしょうじょでした

ですが エミヤさんは じぶんをころしたくてころしたくて
それをさせてくれないあかいしょうじょから
はなれるために うらぎってしまいます

あかいしょうじょをとてもかなしませてしまいましたが
エミヤさんののぞみどおり
むかしのじぶんをころすきかいがおとずれました

それはとてもかなしいさけびでした
エミヤさんはさけびながら むかしのじぶんにつるぎをふるいます
ですがむかしのエミヤさんは まけませんでした
「じぶんにだけは まけない」
「それでもすくわれたひとはいる」
「それはけっしてまちがいじゃないんだ」
むかしのエミヤさんのことばが エミヤさんのむねにつきささり
エミヤさんはむかしのエミヤさんに まけたのです
しかしそのとき ひびわれくずれかけていた エミヤさんのこころに
まばゆいかがやきが よみがえったのです

エミヤさんはむかしのエミヤさんをたすけ おおくのきずをおいました
エミヤさんはのこったわずかなちからをふりしぼり あかいしょうじょをたすけます
そしてさいごにまた むかしのエミヤさんをたすけます

エミヤさんはゆうひをせにたたずんでいました
そこにあかいしょうじょが かけつけます
ふたりはわずかにことばをかわしました
エミヤさんは ふわりとしあわせそうに わらいました
「だいじょうぶだよ オレも がんばっていくから」
そう、わらい ひかりにとけていきました

あかいしょうじょはけついします
「すごく、すごく、がんばったひとが すくわれないなんて
ゆるせない ぜったいに エミヤさんをたすけるんだ」
そしておおくのエミヤさんをたすけようとするひとがあつまりました
もちろんむかしのエミヤさんもあかいしょうじょのそばにいます

どうしたらエミヤさんを“しゅごしゃ”じゃなくできるんだろう
みんなはかんがえてかんがえてかんがえました
ひとつのほうほうがうかびました
エミヤさんを“しゅごしゃ”ではなく
“ほんもののえいゆう”にすればいい

“ほんもののえいゆう”になるためにひつようなものは
ネバーランドやピーターパンのように
“たくさんのひとのしんじるこころ”でした

あかいしょうじょとそのなかまたちは
エミヤさんのかなしいおはなしを えほんにしました
そう、このほんです

かなしいかなしい、せいぎのみかた
やさしいやさしい せいぎのみかた
そのせいぎのみかたのなまえは エミヤさん

どうか
かなしいかれの そんざいを
しんじてくれませんか?

かなしむひとのまえにあらわれ
えがおをもらいさっていく せいぎのみかた

どうか
エミヤさんが すくわれますように





















「これで印税もガッポガポよ!」
そう赤い悪魔が笑った
「……遠坂」
「何よ」
「……いや、とんでもないオチだな、って思った……だけだ」

――― 後日談
「なあ遠坂……」
「何?」
「……何て言うか……いやーな予感、がするんだよな……」
「だから何よ」
「……アイツがさ……本当に……“正義の味方”の正規英霊になったらさ……」
「……で?」
「……『ふはははは!正義の味方参上!!』とか……すっごいノリノリになってそうな……悪寒が……」
「(絶句)」
作品名:エミヤさん 作家名:ふもった