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こらぼでほすと 闖入9

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三蔵は曲がりなりにも、修行の旅やら、三仏神依頼の仕事で旅をしていた身だから、ジープのスリリングなドライヴやらなんやらに慣れている。普通の人間だが、身体能力では、妖怪な面子と似たようなことができる坊主だ。ジェットコースターくらい訳も造作もない。対して、金蝉童子様は、基本、オフィスワーカーな内勤の人なので、身体能力があっても使っていないから錆びついている。さらに、悟空の身体能力なんてものは神様枠なので、どんな恐怖な乗り物でも笑っていられる。
 で、これを鑑みた場合、フリーフォール的なものやジェットコースター的なものに乗車すると、童子様だけが青い顔で降りてくるという結果が導き出されるのは、至極もっともなことだ。
「無理するからですよ、金蝉。」
「あのな、金蝉。そこの腐れ鬼畜坊主は、人間だけど人間じゃねぇーから張り合うと、おまえが死ぬぞ。」
「まあまあ、天蓬さん、捲簾さん、悟空がねだったからですよ。・・・悟空、もう一周してらっしゃい。そこの坊主とエロカッパが一緒に廻ってくれますから。」
 うぷっと青い顔でえづいている童子様は、しばらく動かせないので、退屈しないように、坊主と亭主に相手をさせる。悟空のほうも、「ごめんなー金蝉。」 と、一応謝ったものの、もう一周とチケットを渡されて歩き出している。坊主とエロカッパも、へらっと金蝉を笑って悟空を追い駆けた。
「・・・絶対に、もう乗らん。」
「当たり前だ。ほら、水。」
 捲簾も大笑いはしているが世話はする。午後まで、こちらで遊んで、また京都のほうへ戻ることになっている。そこから一泊したら、この旅も終わりだ。毎日、移動して食い倒れツアーをやらかしていたので騒ぎ倒した二週間だったが、過ぎてみれば、あっという間だ。
「明日の夜は、また歓送会があるぞ、八戒。」
「それは仕方在りませんね。あちらも歓迎してくださっているんですから。」
「菩薩の土産って、あれでよかったんですか? 捲簾。」
「トダカさんが、用意して送ってくれてるから十分だろう。うちのヤツらにも酒を送るか。」
「そうですね。ダース単位になるから、こちらから発送しておきましょう。」
 天蓬と捲簾の部下たちも、休暇は取っているだろうが、特区の酒ぐらいは土産に送っておくことにした。宴会大好き集団だから、喜ばれること請け合いだ。
「たぶん、悟空はキラくんたちのお土産を探すでしょうから、最終日は、それに付き合うことになると思いますが、どうします? 」
「もちろん、付き合いますよ、八戒。僕も、何かしら探したいですし。」
「大人のオモチャとかニールに買うなよ? 天蓬。」
「あ、バレてます? はははははは。」
 天蓬にとって、まとな反応をしてくれるニールは、格好のオモチャだ。その姿を拝むためなら、そういういかがわしい店に繰り出すことも苦にならない。
「だって、八戒と悟浄は、すでに使ってるだろうし、キラくんもやってそうでしょ? あとは、ニールぐらいですからね。」
 夫夫たちは、その程度の遊びは卒業しているだろう。そうなると、弄れる相手はニールぐらいなんてことになってくる。
「・・・天蓬さん、それ、悟空の前で披露するのはやめてくださいね。絶対に質問されるんだから。」
「答えますよ? 僕が。懇切丁寧な解説をしてさしあげます。」
 いやもう、そんなことをしたら、いろんな意味でニールがパニックになるだろう。そういうのは、もっと大人になってから楽しんでくれ、と、嘆くに違いないし、俺はノーマル志向で道具は使いませんよ、と、ツッコミするに違いない。そして、その反応に、さらにツッコミするのが、この元帥様だ。
「・・・・捲簾、阻止しろ・・・・」
 さすがに、その場面を容易に想像して、金蝉が止める。悟空に、そんなもの見せたくないらしい。
「俺も、それは勘弁して欲しいな、天蓬。遊びたいなら、俺が付き合うぞ。」
「うーん、どうなんでしょうね。楽しいですか? 捲簾。」
「さあなあ、どうだろう。やりたければ付き合うが、わざわざはいらんな。」
「僕も、わざわざ道具で盛り上げなくてもいいんですよね。」
「・・・なら買うな・・・・」
「できればやめてください。」
「八戒は、どうなんです? 盛り上がります? 」
「そこまで気合入れていたすほどの気持ちはないですね。」
「やっぱり、そういう意見ですか。」
 もう今更、そういうもので盛り上がる必要は感じない。長年、夫夫をやっていると、いろいろとやりきっちゃってるから盛り上がらないものだ。それに、そういうプレーは後始末が面倒だったりする。経験しているからの言葉だ。
「何か、いいお土産はないですかねぇ。」
「・・・何も買うな・・・」
「おや冷たいことを言いますね、金蝉。滞在中いろいろとお世話になってるんだから、何かお返ししておきたいでしょう? 」
「お菓子あたりでいいと思いますけど? 天蓬さん。」
「それ、当たり前すぎて、僕としては何か驚かせて差し上げたいな? と、思うんです。・・・・まあよろしいでしょう、明日、目に付いたらにします。」
 青い顔色で、となりに立っている捲簾を、童子様が睨む。はいはい、と、数度頷いて、捲簾は微笑む。あんまりなものなら阻止しろ、という視線なのは承知だ。


「おまえ、金蝉に無茶ぶりしてやんなよ、サル。」
「あれならスピードはないと思ったんだけどなあ。」
「ばぁーか、あいつは事務屋さんなの。普段、運動なんてしてねぇーんだから、俺らの感覚じゃ危険だっつーんだよ。」
「うーん、回転すんのもヤバイのか。コーヒーカップって子供の乗り物なんだけどなあ。」
「観覧車ぐらいだろ? あと、メリーゴーランドもいけるか? 」
 こちら、ぶらぶらとスピード系の乗り物に向かっている悟浄たちは、そんな会話をしながら歩いている。以前、もっと生死のかかったスピード系なものに乗りまくっていた面々にしてみれば、コーヒーカップなんてものは欠伸が出るほど退屈な乗り物だ。それで、童子様は酔った。さすがに、これ以上の無茶ぶりするとダウンするので、悟浄も止める。悟空がねだれば、大概引き受けてしまうから、先に釘を刺しているところだ。
「誘うなら、そこの鬼畜坊主にしとけ。これなら壊れねぇーからな。」
「おう、さんぞー、次は、あれに乗ろうぜ。」
 悟空が指差しているのは、スピード絶叫系的な乗り物だ。足が宙に浮いた状態で、捻り込みや回転をしているのが、ここからでも見える。
「あれだけなら付き合ってやってもいい。」
「えーせっかくだから、全部もう一回乗ろうぜ。」
「てめぇーとエロガッパで行って来い。」
「あら、三蔵さん、怖いんですか? まあ、あんたも人間だからなあ。俺らとは身体能力違うし? 」
「ぬぁにおうっっ。」
「マグナムは出すなよ、三蔵。まあ、いいじゃねぇーか、悟空に付き合ってやれよ。こいつも楽しいってはしゃいでるんだからさ。」
作品名:こらぼでほすと 闖入9 作家名:篠義