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∽チカちゃんの学校生活

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許可の無い部外者は入るなと申し渡されて、被服部の部長でありクラスメイトでもあるチカに、交渉していたのだ。
「心配してくれてる奴が居るうちに話しときな。諦めつかないうちは島津くん何度でも此処に来るつもりみたいだし。こっちとしちゃ、そりゃ迷惑だわ。」
生徒会長が来るのはいいのかよ、という他の声には、友達だもん、と答える。
「お前らも、まあ友達のつもりだけどさ。伊達に内緒の溜まり場ってのがミソだろ、此処。あからさまに来るなって言ったら絶対アイツ入り浸るって。」
「あー、伊達ちゃんそういう性格だよねー。」
佐助が笑った。釣られるように、その場の皆が笑う。
ここにいるのは、共犯者ばかりだ。
正直、伊達がこの溜まり場を、あの屋上を使っているのを知ったって、逃げ場のない連中をどうこうするとは思っていない。
それはきっと、屋上に逃げ場を求めた連中の何人かもわかっているだろう。
ほとんどの奴が生徒会発行のメールマガジンを取っている。
伊達の性格はわかっているし、ぶっちゃけ、会長ー!と慕うシンパも居る。
けど、伊達がこの部屋を、あの屋上を溜まり場としていることを知ってしまえば。
立場上、それは取り締まらなければならない。
きっと見逃してくれるだろうが、しかし見逃しては、伊達の責任問題になる。
それなら知らないままでいた方がいい。
思って、皆が笑う中でチカも苦笑した。
島津はそんなチカを見て、歯がきらめくような爽やかさで、
「伊達会長は大事にされてるなあ。」
と、笑った。
言われて、佐助はキョトリと眼を瞬いている。
チカはにんまりと眼を細めた。
島津は屋上の存在に気付いているかもしれないし、気付いていないかもしれない。
単に、これだけ札付きが居る場所に伊達を巻き込まないようにしていることを言ったのかもしれない。それでも。
「そりゃ、大好きだからな。内緒だけど?」
曖昧にさせて、チカはのたまった。


「HEY! How are you, Today?」
ガシャン、と勢いよく扉を開けて、伊達が被服室に入ってきた。
団体御一行が出て行って五分と経っていない。
被服部員は皆一様に手を止めたが、いつものことなので慣れきった態度ですぐに作業を続ける。
「よお、伊達。お疲れさん。」
「Ha! 大して疲れるような仕事はしてねえよ。」
片手を挙げて労ったチカに、伊達はいつも通り飄々と肩を竦めた。
クラスが違ったので、去年よりは会う回数が減った。
相変わらずのようで何よりだと、チカは思った。
毎日顔を合わせないと、どうしているかと、少し心配になる。
この変化は自分でも意外だった。
「あー、やっぱ生徒会ってあんまり仕事無いんだ?」
からかうように言えば佐助がイヤイヤと口を挟む。
「やっぱり案外、面倒そうよ?生徒と教師と両方の雑用押し付けられてるだけだし。」
佐助の擁護しているようで、そうは聞こえない発言が伊達の肩を揺らす。
「・・・お前らの認識はよく解ったぜ。これからはちゃんと疲れた態度を見せびらかしてやる。」
「んじゃ、お疲れの伊達を慰めるために新作を進呈すっか。ほーら、スゲエだろ、このスカートの裾!!」
先刻、机に置いた刺繍のものを手にとって二人に見せると、反応はすぐに返った。
「うわー、見事な刺繍だねー!」
「おうよ、あとちょっとで完成だ。伊達に着せようと思って好みそうな色にしたんだ、青とか白とか!」
「Gee! 花柄じゃねえか!」
「前回のレースは不評だったもんねえ。」
「くっつけただけで簡単だったから駄目なのかと思ってよ。ちょうど京針を親戚がお土産にくれたからさ、刺繍もあっちのやり方にしたんだ。見てくれよこの裏。」
「あ、凄い。ちゃんと裏でも絵柄になってる。」
「だろだろ?!裾が捲れてもみすぼらしくなくってイイ感じだろ?!」
思わず手に取った佐助が、少し驚いて褒めてくれるのでいい気分だ。
だが、肝心の伊達は複雑な顔をして腕を組んでいる。
「・・・技量は認める。認めるけどな、俺は断固スカートも花柄も拒否る!!」
「ええー?!!ちょっと伊達ちゃん酷くないー?制服は着るくせにさー。」
言い募る佐助の隣で、チカも衝撃を受けたような表情を作る。半分は本気だ。
「ひでえ、ひでえよ、伊達っ!!お前が着るのを夢見て頑張ったのにっ!!」
「泣き真似すんな鬱陶しいっ!!毎度毎度、俺が嫌がるって解ってるもんばっか着せようとしやがって!チカお前、実は俺のこと嫌いだろっ?!」
よよよ、と目頭を押えて訴えるチカに伊達が激昂するのを見て、佐助と二人ニヤリと眼を合わせる。
そうして。
「「内緒ー?」」
秘密の共犯者と異口同音に、伊達に笑顔を向けた。
こんなことしてるから、三角関係だなんて噂されるのかな、と頭の隅で思いながら。