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こらぼでほすと 闖入10

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バイトから戻ったら、煌びやかなのが出迎えてくれて坊主は絶句した。ナイトガウンを羽織った天蓬が玄関に顔を出したからだ。
「おかえりやす、旦那はん。」
「死んでこい。」
「どうしてこうも、ツンデレなんでしょうね、三蔵。悟空、どうですか? 」
「いいんじゃね? 向うで着たのより劣るけどいいと思う。」
「ほら、御覧なさい。子供でも、これだけ誉めてくれるんですから、これぐらいのことを大人なら社交辞令で言うもんです。」
 いきなり、そうツッコミされて坊主は、本気で懐のマグナムを突き出したくなった。そして、無視して居間に入ったら、こちらにも煌びやかななのが一匹居た。「おかえりなさい。」 と、出迎えた女房の格好もそうだった。
「お疲れ様です。」
「おい。」
「これですか? 天蓬さんから土産に貰ったナイトガウンです。ちょうど羽織るには都合がいいもんですね。」
 視線で問うと、そういう返事だ。派手な顔立ちだから、その衣装に負けていない。そこそこ似合っているので、まあいいか、と、坊主もスルーの方向だ。
「風呂ですか? 食事? 」
「風呂の後でお湯割りしてくれ。」
「はいはい、そろそろ冬ですか。」
「おまえだって、それ着てるじゃねぇーか。」
「そうですね。」
 外出用の着物を脱ぐ手伝いをして、女房のほうは、それを衣紋掛けに掛けると、台所へ移動する。悟空のほうは、先に軽食を食べるべく、卓袱台に座っている。
「刹那、お菓子食ったか? 」
「いや、まだだ。」
「じゃあ、ちょっと詰め。」
 ごそごそと部屋の隅に置いてある土産の箱を何個か取り出して開ける。すでに、先に渡したのは食べたらしい。
「こっちが、そばぼうろっていうクッキーみたいなやつ。これは、粟オコシっていうクリスピーみたいなの。えっと、こっちは・・たこやき煎餅。」
「悟空、そんなに一遍に全部開けるなっっ。湿気るぞ。」
 ニールが、その様子を見て注意する。せっかく買ってきたのだから味わえ、ということだ。
「だって、刹那は育ち盛りなんだからさ。」
「一日一個で十分だ。勿体無いだろ? 」
 まあ、悟空がいるから残すということはないが、賞味期限が差し迫っているわけでもないから、一個ずつ開ければいいと、貧乏性なニールとしては思うらしい。
「ふぁーい。俺、メシ欲しい。」
「はいよ。」
 そして、上司様たちも坊主に付き合うのだろうと、そちらの準備もされて運ばれてくる。
「悟空、レイは? 」
「一回、家に帰って、こっちに来るからって別行動。」
 レイは、相変わらず時間の都合がつく限りは、こちらに居候体制だ。今日も戻ってくるらしい。深夜近い時間だから、そう無理しなくても、と、ニールは言うのだが、手伝える限りは、と、手伝ってくれる。






 翌日、午後から珍しく爾燕が顔を出した。こっちで、捲簾が本格的なのを作ると聞いたから、食べたくなったとのことだ。
「いいところに来たな、爾燕。ちょいと、それ千切りにしてくれ。」
「うわぁー何品作ってんだよ? 捲簾。」
 すでに、台所には冷菜と呼ばれるオードブルが完成して用意されている。それも、大人数を予想しているから、一品ずつが大量に大皿盛りになっているのだ。
「なんなら、店に持って行ってもいいぞ。」
「いや、無理じゃねぇーか? 悟空が食っちまうだろ。紅にも声かけておいたから来るぜ。」
「そうだろうな。」
 寺の女房は昼寝時間で手伝っていない。家事能力のない天蓬は、黒子猫の鍛錬に付き合っているし、坊主は金蝉と書類を捌いている。寺は、オールセルフサービスだから全員がフリーダムな状態だ。
「生春巻きはいいな。」
「おい、つまみ食いすんな、爾燕。」
「硬いこと言うなよ。捲簾、おまえ、本職で通用すんぞ。」
「軍人を首になったら考えるさ。当分は無理そうだけどな。」
「当分どころか永久に無理そうだけどな。」
「あははは・・・違いない。」
 どちらも今の場所から動くつもりもないし、外れる予定も無い。その先に、また戦うことはあるかもしれない相手だが、今のところは対立する用件は無いから、のんびりしたものだ。
「おまえ、三蔵とニールのことは、どう思ってんだ? 」
「ありゃ、うちの弟夫夫と同じだな。もう、くっついちまってるだろ。」
「やはり、そう思うよな。」
 みな、感じていることは同様らしい。ただ当人同士は、そういう気分ではないらしいのが微妙なとこだ。
「なあ、捲簾、天蓬が黒ちびの相手していたが手加減間違えて殺さないか? 」
 山門を潜ってきた爾燕は、境内で繰り広げられていた鍛錬なるものを目にしてきた。ごろごろと転がって真剣を避けていた黒子猫は、かなり危険な状態だったと思い出した。紙一重で避けているが、ひとつ間違うと、ざっくりと真剣が刺さるような距離の避け方だった。
「それはないな。あれでも、西方軍の元帥様だ。ちゃんと避けられる程度に加減はしている。」
「悟空や紅なら、俺も気にしないが。あれ、人間だからな。」
「人間だが、ちと違うぞ、あれ。」
「ああ、おまえも気付いたか。」
「正体まではわからない。」
「俺も、そこまではわからないが、徐々に、あの気は増大はしている。最初は、わからない程度だったんだ。」
 『吉祥富貴』に最初に現れた頃は、まったく気付かなかった。それが、戻って来る度に、気配が増大していくから、ようやく爾燕も気付いた。
「うちには関係ない気だと思う。」
「それは、俺も同意見だ。だが、人間の普通の気じゃないんだ。キラたちコーディネーターとも違う。」
「もっと表に出てこないと、はっきりしねぇーな。」
 神仙界関係者は、なんとなくは気配の違いに気付いているのだが、明確に何が違うのかまでは判明していない。そんな会話をしつつ、さらに料理が完成されていく。誰が食べるんだろうというぐらいの量だが、年初組が勢揃いすれば問題はないだろういうぐらいの量だ。




 殺されないか心配されている境内のほうは、一応、黒子猫はぴんぴんしていた。多少、傷はついているが、それも大したものではない。
「いいですか? 薄皮一枚を斬る程度に斬りつけます。それを避けきれないということは、きみは僕ぐらいの腕の人間と戦うと、ざっくり斬られるということです。」
 最初に元帥様は、そう説明した。現役テロリストなのだから、訓練するなら本気のほうがいいだろうと、わざわざ捲簾の長剣持ち出した。本来なら銃刀法違反になりそうな代物だが、ちゃんとそこいらは考えて持ち込んだ。一応、名目は護衛だから、捲簾だけ愛用の剣を持ち込んだ。もちろん、黒子猫は両手に短剣を構えている。どちらも、一歩間違えば大怪我必死だが、元帥様は涼しい顔だ。
 さあ、いきますよ、と、声をかけて剣を振り払う。本気ではないが、相手も刃物を所持しているので、そこいらは真面目に対処する。黒子猫は自身の俊敏さが持ち味であるから、すばしこく元帥様の懐へ飛び込んでくる。もちろん、元帥様も承知だから、懐に入られる前に剣を払って退かせる。そこへ上段から斬りつけるが、黒子猫も飛び退く。
作品名:こらぼでほすと 闖入10 作家名:篠義