うらない
部室のドアが唐突に開いた。
今度は誰がきたのかと部誌から顔をあげると、ついさっき出ていったはずの人が再び顔をのぞかせていた。
「なんすか、忘れもんっすか?」
「や、ひとつ言い忘れたことあったけん…あと34日やねって」
「久々にその予言聞きましたわ。…ていうか何がです?」
「財前が金ちゃんに胴上げされるまでの日数」
「はぁ…」
「間違って地面落とされんように気ぃ付けなっせ。ほんならね」
確かに優勝した暁には感激した遠山が胴上げぐらいやらかすかもしれない。
そう考えて思わず遠い目になった俺にさりげなく不穏な可能性を示唆して、パタンとドアは閉じられた。
「どっちか言うたら落とされるより照明とかにぶつけられる危険性のが高いんちゃうか…」
決勝戦の終盤からは遠山にはあまり近寄らないでおこう、俺はそう心に決めたのだった。