【あの花SS】十年越しの花火の前に【10話】
―めんま―
みんな、ありがとう。
めんまのおねがいきいてくれて、とてもうれしかったです。
みんな大きくなってたけど、あんまり変わってないね。
ぽっぽはいつもおもしろいし、
つるこは頭いいし、
ゆきあつは一生けんめいだし、
あなるはかわいいし、
じんたんは――じんたんは、かっこいい。
めんま、やっぱりじんたんのおよめさんになりたかったなあ。
いっしょにいられなくてごめんね、じんたん。
めんまも、じんたんがすきです。
めんまがじんたんにあいに来たのは、じんたんのお母さんとやくそくしたからです。
めんまは、じんたんのためにかなえなきゃいけないことがあるんです。
ほんとうは早く生まれ変わらないとなんだけど、やくそくは守らないといけないんです。
それに、めんまだけじゃかなえられない。
みんなの力がひつようなんです。
みんなじゃないと、できないんです。
めんまね、みんなにあえてほんとうによかったよ。
めんま、みんなと見た目がちがうから、小さいころかみを引っぱられたり、いじめられたりしてたんだ。
でもじんたんが、いじめっこの頭をぼこっとなぐって、
「よわいものいじめいけないんだぞ!!」
って助けてくれたから、めんま、がんばろうって思ったの。
めんまがよわいものじゃなくなれば、みんないじめないんだって。
元気にえがおでいれば、じんたんも、みんなも、なかよく遊んでくれるんだってわかったの。
めんまがめんまになれたのは、みんなのおかげです。
なかよくしてくれて、ありがとう。
めんまはそろそろ行かないといけません。
みんなが花火つくってくれたから、じょうぶつしないといけません。
めんまが死んじゃって、みんなずっと苦しんでたのを、めんまは知っています。ごめんね。
めんまは生まれ変わって、みんなの世界からいなくなります。
次はねこさんになるかもしれない。お花さんになるかもしれない。
めんまはめんまじゃないだれかになって、みんなのことを見ています。
だからもう苦しまないでね。
めんまはみんなが幸せになるように、どこかからおいのりしています。
じゃあね、ばいばい。
「待っ」
止める間もなく、導火線に火が点いた。
最後の花火が、色とりどりに空に咲く。
作品名:【あの花SS】十年越しの花火の前に【10話】 作家名:幾田宴