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【あの花SS】十年越しの花火の前に【10話】

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―ぽっぽ―



すげーやつに憧れた。
オレもすげーやつになりたかった。


じんたんはすげー。
なんつーか、言葉じゃいいにくいんだけど、かっけー。
オレたちが知らないことを色々知ってたし、オレたち引きつれてどこへでも冒険しにいったし、秘密基地を見つけたのもじんたんだった。
オレたちの大冒険の主役は、いつだってじんたん。
みそっかすのオレは、じんたんの活躍を近くで見るのが楽しくて仕方がなかったんだよ。


それからめんま。
めんまはオレたちのムードメーカーだった。
めんまが真ん中でバランスを保ってくれていたから、オレみたいな何の取り柄もないやつでも、すんなり輪の中に入っていけた。
めんまは明るくて、かわいくて、みんなめんまのことを見てた。
オレだって見てたよ? めんまのこと。
だってかわいいからな。仕方ねえよ。
見てたけど、かわいいめんまはかっけーじんたんのものなんだって、初めから気付いてた。
それがくやしいとも、特には思わなかったな。


オレはずっとじんたんにくっついて見てきたから、みんながどんなこと考えて過ごしてたのかも何となくわかってた。
あなるがじんたんばっか見てるのも。
ゆきあつがこっそりめんまにプレゼントあげようとしてたのも。
つるこが時々ゆきあつのそばに座ろうとしてたのも。
でもさ…………その中に、オレは含まれてないんだ。
オレはみんなと冒険してたはずなのに、みんなの思う関係の中にオレだけがいないんだな。
オレ、思っちまったんだ。
どうしてオレだけって。
おいてけぼり食らってる気がしたんだ。
オレは、オレの立ち位置がわからなくなった。


外の世界を見て回ったら、オレの役割もわかる気がしたんだ。
元々勉強得意じゃなかったし、中学卒業したらすぐに日本を飛び出した。
色んな人と会ったよ。
色んな世界が見えた。
ただ、そこはオレの世界じゃなくて、その人たちの世界なんだ。
それでもいつかはオレの居場所見つかるかなって、躍起になって世界中飛び回ってた。
資金集めのために日本に戻っているときに、じんたんが秘密基地にやってきたのは驚いたよ。
じんたん、めんまが見えるんだって。
やっぱりじんたん、オレにはできないことをかんたんにやっちまう。
かっけーなー。


そんなかっけーじんたんが、真っ先にオレを頼ってくれたのがうれしかったんだ。
オレ、じんたんやめんまの力になりたかった。
オレなんかでも、オレなりのやり方でみんなの仲間入りできるんだって、初めてわかった。
オレは、オレのままでよかったんだ。
だから、花火の打ち上げは成功させなきゃいけない。
オレとみんなで作り上げた、めんまのための花火。
めんまが、オレとみんなをつなげてくれたんだな。


「めんまー!!これまで色々と、ありがとなー!!」


さあ、めんま、最後の大舞台だ。
ド派手にいこうぜ!!