二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」

映画を見る

INDEX|2ページ/2ページ|

前のページ
 

「……」
また跡部くんが黙ってしまった。キレイな顔。女の子だったら俺は何も考えないで、いい返事をしてあげられるのに。長いまつげが揺れた。青みがかかった茶色の瞳が俺をちらと見る。
「俺の顔は好きか?」
「うん」
「じゃあつきあえ」
「…顔で判断されてもいいって?」
そういうと跡部くんは少し驚いたような顔をして、また下を向いてしまった。俺が相手を思いやるようなことを言ったから驚いたみたいだった。少し思いやるような気持ちもあったけど、顔とかそれ以前に、もっと大事なことがあるじゃん。性別だよ。跡部くんおっぱい生えてないじゃん。ていうか跡部くんの顔が好きだっていつからバレてたんですか。家政婦は全部見てた?


どうやって返事したらいいんだろ。跡部くんもなんか困り顔だし。ぼーっとした顔で二人でベンチに座ると、すぐに跡部くんが「かき氷買ってくる」って言って早足で行ってしまった。帰ってきた跡部くんはレモンとブルーハワイを一つずつ抱えていて、俺が選ぶ間もなくレモンを突き出してきた。
「ありがと」
「…やっぱり俺と付き合え」
「跡部くん男だよね」
「ああ」
「おっぱいは生えてないよね」
「ない」
「それでもおれがいいの?」
「…うん」
何この殊勝な返事。ちょっと可愛いじゃん。でも男。それに跡部くんってこんな殊勝な男だったっけ。俺が前に見かけた限りはもっと負けん気の強い自信家のだと思ってた。好きな子にはこういう態度をとるタイプなのかな。それよりさっきっからこの表情が気になる。その困り顔。
「告白してくる割には困ったような顔してるけど」
「お前は、この俺がお前を好きになったっていうのに、ぜんぜん嬉しそうじゃない」
だってそれはきみが男だから。俺も男だから。そういう理由は跡部くんもさすがにわかってたみたいで、俺たちはお互いにしゃべることをやめた。ただ黙って前を向いて歩く人たちをしばらく眺めた。それに飽きたのか今度は跡部くんが話し始めた。
「やっぱり付き合え」
「…跡部くんにおっぱいがないのに?」
「ああ」
「うーん」
今度は俺が困った顔になった。
話すのをやめて、とけかけたかき氷を口に運ぶ。シャキシャキ感はあんまりない。レモン水をぐっと飲み干す。今俺の舌何色だろ。

「…なぁ」
「ん?」
「金払ってもいいぞ」
「ハァ?」
どんだけ血迷ってんのこの人。援交みたい。俺は差別はしない、っていうことを示した上で友達としてならこれからそういう相談乗るよって提案してみても「今お前が好きだ」の一点張りだった。困ったような顔は変わらないのに、もう目に迷いはない。きれいな顔。ていうか、ほんとにホモなのか跡部くんは。俺が好きなだけ?友情の延長線上なだけなのを俺と本人が勘違いしてるだけか。なんかの代用か。
あと金で解決できると思ってんの。本気じゃないよね。なんかホモとは別の問題も見えてきた。

「とりあえず」
友達として会う時間をこれから作ることで合意した。跡部くんを更生?させられたら俺はそれでいい。跡部くんはその間に俺を落とすつもりらしい。まあ落ちないけど。んでその間の交際費は跡部くんがもってくれることになった。まずはその金銭感覚について疑問をもつようになろうね。興味本位で始まった「おともだち」はいつまで続くかわかんないけど、昼間分かれた女の子を思うとやっぱりおっぱいが恋しいと思った。
作品名:映画を見る 作家名:まーくん