二次創作小説やBL小説が読める!投稿できる!二次小説投稿コミュニティ!

オリジナル小説 https://novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
二次創作小説投稿サイト「2.novelist.jp」
蛞蝓亭 紅葉
蛞蝓亭 紅葉
novelistID. 28345
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

脳残滓

INDEX|2ページ/6ページ|

次のページ前のページ
 

死ニ至ル病



患ってしまいました、と告げると、相手はさしたる反応も示さなかった。
信じていないのか、またはとうに知っていたのか。杳として知れないそれを探る手だてを、彼は与えてはくれない。
「どうも、癒える事はないようです」
今度は、僅かに反応があった。しかし彼は振り向いてくれない。こちらに背を向けたまま、書に視線を落とすばかりだ。
「安心しろ、私も患っている」
「えっ」
次に発された言葉は思いもよらぬ内容で、驚愕が口を衝いて出た。そのような話は、間者からも伝え聞いていないのだが……まさか。
「生まれたその時から、ずっと患っている」
「……それは、存じ上げませんでした」
がたん。椅子が蹴倒される。彼が立ち上がったのだ、それはそれは乱暴に。
「無様に先にくたばるがいいわ。精々、あちら側の事情を調べつくして脳を沸騰させておけ」
書を掴む手が震えている。指先に力を込めすぎて、白く変色している。力に負けた表紙が、不格好な皺にまみれていた。
「あちらで、質問攻めにしてくれる」
「……かしこまりました」

人は生まれたその瞬間、死を約束される。それが何時訪れるかなど、誰にも分からない。それをかの人は、それを病だと表現した。
人は生まれ持って、死という病に冒されているのだ、と。
……それに気付いたのは、もう二度と彼に会うことを許されぬ、最期の地であった事だけが、心残り。



※汎用人型決戦兵器が頭に浮かんだ方は素直に挙手を←
※相変わらず、名前が出てこない……凹●

作品名:脳残滓 作家名:蛞蝓亭 紅葉