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ロマンシングサガ3 カタリナ編 序章4

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 弛まぬ執政を行いながらそのようなことまでしてのけた若きロアーヌ候に、ここ数日は各国から賛辞の報がひっきりなしに届いていた。

「これは何処にまわせばいいの?」

 地方からの申請書を区分けして順番にファイリングしたカタリナは、近くで作業する事務官の女に伺った。

「あ、えっと、そちらはすぐ後ろにある棚の・・・申請書の区分け欄と照合しながら入れていただければ・・・」

 おずおずと事務官が答える。その明らかに緊張を隠しきれていない声は気にせずに、カタリナは言われたとおりに棚のなかにファイルを分けてしまっていった。

(まぁ、宮廷貴族がこんなところにいきなり来てお手伝い・・・じゃあ確かに緊張するものかもしれないわね・・・)

 そんなことを考えながら、苦笑混じりにカタリナは作業を続けた。
 今回の事変は確かに国の基盤を揺るがすようなものには発展しなかったが、しかし国の基盤がまだ固まりきっていないことを露呈した事件でもあった。
 反乱の首謀者とされるゴドウィン男爵の消息は結局つかめず、そのまま候家縁の貴族が一つ没落。そしてその反乱に直接加担した大臣以下数人の官僚は極刑に処され、その下にいて反乱に加担させられた形の下士官たちも、ほとぼりが冷めるまで周辺地域に左遷という処分が取られた。つまり、諸々の始末書やその他通常業務をする役人が不足しているという状況なのである。
 故にこうして、カタリナもお手伝いに馳せ参じたというわけなのだ。

「カタリナ、いますか?」

 そうして作業をこなしていると、不意に入り口で名前を呼ばれた。
 作業を中断して其方に目を向けると、正装をしたモニカが部屋の中を覗き込んでいた。
 謁見の間での戦いから三日後、つい昨日になってようやくモニカはポドールイから帰還した。
 ロアーヌ東方の開拓地シノンからポドールイまでの護衛を勤めたという現地民も共におり、今日は謁見の間にハリード他その現地民らを招き、ミカエルが労いの言葉をかけるとのことだった。
モニカの姿を確認したとたん、ざわざわと騒がしくなる事務室。宮廷貴族に加え、さらには候族まで顔を出しにきたとあっては、それこそある種の一大イベントだろう。

「はい、ここに」

 立ち上がりながらカタリナが返事をすると、モニカは手を振りながらこちらに歩み寄ってきた。

「そろそろ謁見の間に行きましょう。ユリアン様達が城門に到着したらしいわ」

 どこか浮かれたように、楽しそうにしながらしゃべるモニカ。ユリアンというのは、護衛を勤めた現地民の中の一人のことらしい。どうやら男の名のようだが、よもやモニカに対して不穏な態度を示しているわけではなかろうかと若干の危惧を感じつつも、カタリナはその言葉に呼応して目の前のデスクを片し始めた。

「はい、ではここを片付けてからすぐ参ります。モニカ様はお先に向かっていらしてください」

 素直に返事をして部屋を去るモニカを横目に、先ほどの事務官に作業の引継ぎをしてカタリナもすぐに事務室を後にした。
 カタリナが事務室を去った後も、その場は騒然としたままであった。




「さて、今回の難局を乗り切ることが出来たのも、多くの者の助力あってこそのことだ」

 玉座に構えたミカエルが、そう切り出した。すぐ傍に控えるモニカとカタリナ。そして玉座に向かい合って立っているのは、ハリード他五人の人物だった。

「特にここに居るハリード、トーマス、ユリアン、エレン、サラは、このロアーヌ宮廷に直接仕えていないにも関わらず、よく働いてくれた」

 名前を呼ばれ、呼応するように順に頭を下げる五人の男女。一見するとハリード以外は明らかに地方の民と見て取れる粗野な格好だ。やはりハリード以外は皆、ロアーヌ東方のシノンの開拓民らしい。しかしその者たちにはみな共通して、若く、そして鋭い眼光が宿っているようにカタリナには感じられた。

「よくぞ、我が妹モニカを無事にレオニード伯のところまで護衛してくれた。私の至らなさ故にお主達にまで迷惑をかけてしまったことは、申し訳なく思っている」

 そういうと、ミカエルは軽く頭を下げた。
 すかさず口笛ではやし立てるハリード。カタリナは、あとでハリードを背中から蹴り倒してやろうと心に誓った。

「ハリードには我が軍に従軍してもらい、多大な功績を出してもらった。このような機会にお主にめぐり合えたこと、感謝しよう」

 ハリードの口笛もなんのその、ミカエルはハリードに目を向けるとそう口にした。そして若干気まずそうに頭をかくハリード。ざまあ見ろ、とでもいうようににやりと笑うカタリナ。
 と、そこでモニカが前に歩み出た。そしてそのまま上段からくだり、ハリードの前まで歩み寄ると、ぺこりと頭を下げた。

「ハリード様、ありがとう御座いました」
「・・・金のためだ。別に感謝してもらう必要はないぜ」

 素直なのかわざとなのか分からないが、どこか皮肉めいた笑みを浮かべながらハリードが返す。
 続いてすぐ隣の眼鏡をかけた若者の前に立つと、同じようにモニカは頭を下げた。

「トーマス様、ありがとう御座いました」
「勿体無いお言葉です」

 そういって礼をするトーマス。瞳に宿った光は、ハリードを除けば彼のものが一番鋭い。服装こそ開拓民のそれだが、どこか垢抜けた空気と知性を持っている。

「ユリアン様、ありがとう御座いました」
「・・・自分が正しいと思うことをやれって親父がいつも・・・別に、そんな・・・」

 ユリアンと呼ばれた緑髪の青年は、若干緊張気味にそういって頭を下げた。その眼光は確かに可能性に満ち溢れているようにも見えるが、一見しただけでは何処にでもいそうな開拓民の青年だ。しかし油断をしてはいけない。この青年は要チェックだ。

「エレン様、ありがとう御座いました」
「モニカ様と旅をしたの、結構楽しかったよ」

 次にモニカが礼を述べたのは、髪を後ろでまとめた女性だった。格好は他と同じく開拓民のそれであるが、その服装すらもトレンドに見えるほどにこのエレンという女性は容姿が洗練されていて、美しかった。化粧を施した貴族的な美しさではなく、自然が育んだ天性の美しさを持っている。そしてそれを気にもしていないような素振りと、勝気な瞳。一見してもわかるほどに才気にあふれた、将来有望そうな女性だ。

「サラ様、ありがとう御座いました」
「・・・いえ・・・」

 最後にモニカが礼を述べたのは、若干エレンの後ろに隠れるようにして立っていた少女だ。エレン以上に長い髪を後ろに流した、気の弱そうな少女。エレンの妹であると事前にモニカから聞いていたが、どうやら姉に守られて過ごしてきた箱入り娘、といったところだろうか。
 そしてモニカは五人に礼を述べた後、こちらに歩み寄ってきた。

「カタリナ、ありがとう」
「・・・モニカ様の勇気が、ゴドウィンの野望を打ち砕いたのですよ」

 カタリナに向かって頭を下げたモニカに、彼女の目の高さまで姿勢を下げてカタリナはそう答えた。

「ここにいる皆にはそれぞれ、十分な恩賞を与えよう」
「まぁ、当然だな」

 ミカエルの言葉にまたしても軽口を放つハリード。頬が引きつるカタリナ。