Activation of love /GundamOO
話にはよく聞くけど、まさかそれが現実になるなんて。
僕が電車の中で告白されるなんて。
まして、年下の同性の子から。
相手は17歳、高校二年生。僕より4つ年下で。
去年の春からずっと同じ電車で通学してた。僕もたまに見かける顔だった。
少し小柄だけど、目鼻立ちがはっきりしてて、透き通った赤褐色の、力強い瞳が印象的で。
その日も同じ車両の同じ場所に彼は居て。
いつも僕が先に降りるのだけれど、その日初めて、降りる直前、腕を捕まれた。
「すまない。話がある。」
ぶっきらぼうだったけど、すごく真剣で。本当に申し訳なさそうな顔をしてたから素直に応じてしまった。
電車を降りて二人、並んでホームに佇む。
それから人いきれが途切れた頃にやっと、彼が口を開いた。
「……すまなかった。」
外見の幼さの割にずいぶんと落ち着いた、というか多少高圧的な態度。でも悪気が無いのは顔を見れば分かる。
「ううん、全然。」
スマイル。年下の子だもんね。ほんとは一限に遅れそうなのがちょっと気になってるけど。
「それより僕に話って、何?」
さっきまで冷静、というか寧ろ鉄面皮かとすら思っていた顔つきがみるみる険しくなっていく。
それから青くなったり赤くなったり、額にじわりと汗がにじみ出して、意志の強そうだった目も泳ぎがち。
なんだか見てるこっちまで不安になってくる。
「……参った。」
目頭を押さえながらうつむきがちにそう呟いた彼の肩は僅かに震えているようにさえ見える。
なんだか僕の方が彼に何か悪いことでもしている気分だ。
「えっと……どうしたの? 具合でも悪い?」
一応、心配をしてみる。もし目の前で倒れられたりしたらと思うと気が気じゃ無い。
「そうじゃない。そうじゃないんだ……」
彼は深く息を吐くと、意を決したようにきゅっと唇を結んで僕の顔を振り仰いだ。
「俺の名は、刹那・F・セイエイ。────俺と……付き合ってくれ。」
せつな、というちょっと不思議で懐かしいような響きが、ただ頭の中で渦巻いた。
それから彼が続けて言ったことの意味が分からなくて、今にして思えば僕はこの時ひどく間の抜けた顔つきで応じてしまったように思う。
「……? 何に?」
「何に、じゃなくて、俺に、だ」
「君と……何処に?」
「何処じゃ無い。全部だ。あんたの全部、俺に預けてくれないか。」
なにそれ。何かの勧誘? ちょっと怖い……かも?と思い始めた矢先。
「あんたが好きだ。ずっと……ずっと見てた。我慢ができなくなった。だから、俺と付き合って貰いたい。」
つまりそれって、恋の告白────僕の頭の中は真っ白。一方、言い終えた彼の顔はさっぱりとして凛々しくて、なんだか圧倒される。
言いたいことがたくさんあるのに、頭の中でぐるぐるするだけでうまく言葉に出来ないまま、時間だけがまるで止まったように長く感じる。ひょっとすると、さっきまで、目の前の彼もこれと同じ状態だったのかもしれない。