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Echo /GundamOO

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 慌てて部屋着に着替え、階下に降りるとちょうどライルが帰った後のようだった。外からハレルヤとライルが挨拶を交わす声が聞こえ、やがてランチアのエンジン音が遠のいていった。
 「泊まっていくのかと思ったのに。」
 戻ってきたハレルヤにそう言うと、野郎とそんなに仲良しごっこしてられるかよ、と鼻であしらわれた。
 転がった空き瓶を拾い上げてキッチンに持っていく。ライルはギネス。ニールも好んでよく飲んでいた。
 「で、何の用?」
 ハレルヤに問いかける。
 「用が無かったら帰って来ちゃいけねぇのかよ。」
 弟の言い分も尤もだ。ここはもともと二人の家なのだから。
 それでも別々に暮らすにはそれなりの理由がある。
 ニールが去った後も、僕には特別親しい友人が出来ることが度々あった。恋愛に臆病になっていた反面、それ以上に孤独を紛らわし、心の空白を埋めたい気持ちが強かったせいかも知れない。何より信頼しきっていたハレルヤに裏切られた事が大きかった。
 それなのにそんな友情が常に長引かない理由────それはハレルヤの存在だ。
 僕に近づく人間全てに対して彼はいつも警戒していた。そして、テリトリーに入るや否や、ハレルヤはその全てを奪う。そう、有り体に言えば────恋人全てを寝取られた。
 あの頃は、僕に対してハレルヤが何故そんな仕打ちをするのか分からなかった。だが彼もまた、僕が彼から離れていく事を憂えて居たのかも知れない。
 そして、幼なじみのマリーが家族と一緒に僕らの前から姿を消したことが、僕とハレルヤとの決別へと繋がった。

 マリー・パーファシーは恋人、と言えるほど深い関係には至っていなかったけれど、でもそれ以上に互いを理解し、心から信頼し支え合える親友だった。僕らにとっては、姉のような妹のような特別な存在だった。それなのに。
 幼い頃からずっと僕らの傍に居た彼女は、ある日突然姿を消した。
 彼女の家ももぬけのからで、一家は引っ越したのだと後から聞かされた。僕らに何も告げず去ってしまったことを不審に思っていた矢先、娘のマリーについて耳を塞ぎたくなるような噂が次々と上った。それを聞いたハレルヤの荒みぶりから、おそらくその噂は近からずも遠からずで、それらにハレルヤが関わっていると確信した。その後も一家については様々な誹謗中傷が取り沙汰されたが、やがて一家の名前が囁かれる事も無くなっていった。空き家になっていたパーファシー家に別の新しい家族が引っ越してくる頃には、ハレルヤもこの家にはめったに帰ってこなくなっていた。それ以来、時々金の無心に来る以外は、放蕩の日々を送っている。



 僕らはどこで道を踏み外してしまったのだろうか。
 二人で一緒に暮らしてさえいればいつまでも幸せでいられると信じていた。全ての幸福を二人で分かち合い享受できると信じて疑わなかったのは、僕の幼さによる過ちだったのだろうか。だが僕の無邪気が彼を苦しめてしまったという事実を、僕はまだ受け入れきれずに居る。



 「ハレルヤ、戻ってくるの?」
 その問いに彼は答えない。
 代わりに揶揄するような笑みで僕を一瞥し、やれやれと身体を伸ばしながら寝室へと向かった。
 階段を上りかけたその時、振り向き様「心配すんな。もうお前の邪魔はしねぇよ。」と言い残し、彼は階上へと消えていった。



 その後も部屋を片付けながら、ふと僕は気づいた。
 彼を遠ざけていたのは寧ろ僕の方だった────と。











2011/‎06/‎24

刹那いっこも出てきませんでした
刹アレ前提で書いてたはずなのに

パラレル でした。


作品名:Echo /GundamOO 作家名:Anne Katie