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【Secretシリーズ 6】 Love&Peace

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両手でしっかりと抱きつき、ぴったりと体をすりよせた。
ハリーがキスをするたびに「あっ…ん」と吐息を漏らし、無意識に相手の髪の毛に指を差しこみかき混ぜる。

その途端に逆に今度はハリーの体がビクンと反応した。
大好きなドラコの指先は繊細で、それで頭部をなでられると、ハリーはうっとりと夢心地になってしまう。

「―――ああ、ちょっと、待ってドラコっ!」
実はハリーは髪の毛を触られるのがものすごく弱かった。
弱いくせに、そこを触られるもの、ものすごく好きだった。

あまりの気持ちよさにやめてほしいような、ずっと触っていてもらいたいような、複雑な感情にハリーは支配されてしまう。
じんわりと溢れてくる快感にハリーは腰を振るわせた。
ハアハアと息が上がる。

ずっと休みなくかき回すように黒髪の中をまさぐられて、ハリーはその気持ちのよさに
「くぅ……ん」
という甘えたような声を漏らし、ドラコの胸に顔を寄せて額を擦り付けた。

ふわふわとしたたっぷりの黒い癖毛がドラコの胸に押し付けられて、その柔らかな感触がくすぐったい。
左右に首を振って擦り寄ってくる仕草はまるで、じゃれている犬みたいだ。

ドラコは熱っぽい瞳のまま自分の胸元に顔を寄せている相手を見下ろして、その仕草にクスクス笑った。
(これじゃあ、英雄も形なしだな……)

両手を相手の髪の中に差し込んで指の腹で刺激をすると、ハリーのからだが一層ブルブルと震える。
「やめて。お願いだから、ねえドラコ……」
少し苦悶の表情であえぐようにハリーはささやいた。

「―――なんで、気持ちいいだろ?髪の毛を触られるのが大好きだからな、お前は」
(遠慮するなよ)という感じで、ドラコはハリーの頭を一層、愛撫するように撫でまくった。

そのたびにハリーの息が、追い上げられるように早くなる。
突っ込んだ指を早くまざくるようにかき混ぜれば、「アッ!」と小さく叫び、ハリーの体が一瞬震えて、慌ててドラコの手を掴むと強引に自分から離した。

「ああ、あぶなかったー…」
ハリーがぜいぜいと肩で息をついて、早くなってしまった自分の呼吸を整えようとする。

「もう、触らないでいいからね、ドラコ。お願いだから」
上気した顔で困ったように言うハリーの言葉の意味が分からず、ドラコは首をかしげた。
「―――なんでだ?君ばかりが触ってきて、僕にも君の体を触る権利があるはずだ。だから、もっと触らせてくれてもいいだろ?」
少しすねたような顔で相手を軽くにらむと、それを受けてハリーは顔を赤らめつつ、もじもじと答える。

「――そのー…、あのさ。…だって、あまりにも気持ちよすぎて、もう出ちゃいそうだったから……」
(はぁっ?)と驚いた顔で相手を見つめると、ハリーは一層顔を赤くしてからだを揺すった。

「今イッてもいいけど、それだったらドラコがつまらないだろ?最初はドラコからじゃないと、キミは機嫌が悪くなるしね……」
そのぬけぬけとした言葉に、ドラコは別の意味で真っ赤になった。
「なんて言い草だ。お前からしかけてきたくせに。まるで僕が欲求不満みたいいじゃないか!」
怒りできつくなった瞳でドラコはおもむろにドンと相手をベッドに突き飛ばした。

「―――出て行け!」
低い声でドラコが命令した。

「ええ゛っ!だって、この隠れ家に帰ってきたのだって久しぶりだし、ここは僕の部屋でもあるんだから……」
戸惑うハリーの声に聞く耳を持たずに、ドラコはまた同じ言葉を言う。

「聞こえなかったのか、ハリー。僕は君に出ていってもらいたいんだ」
ゆっくりと冷たい声で命令を下す。

ハリーはゴクリと唾を飲み込んで、相手を見た。
ドラコは自分のプライドにはひどく敏感で、それを傷つけられると、例え相手がハリーだとしても容赦がない。

(僕の言葉が滑ったのは悪いとは思うけどそれが事実だし、たまに弾みで僕が先にイッたときなどいつも「早すぎだ!」と、僕を蹴り上げるほど怒るくせに。……そりゃあドラコは、抱かれている最中だから天国へ行っていて、覚えてないかも知れないけどさ……)
ハリーはうらめしそうに相手を見たが、ドラコの瞳は据わったままだ。

(ドラコのワガママはとても大好きなんだけど、2週間ぶりの帰宅にこの扱いはきついな)
だけどもしここでハリーが折れなければ、逆に痺れを切らしたドラコが部屋を出ていってしまうだろう。
プライドが人一倍の彼がこの部屋を出るということは、つまり『別居』を意味することになり、それだけは避けたいハリーは、仕方なく今回も相手の要求をしぶしぶ飲むことにした。

ハリーはがっくりと肩を落としたままベッドを降りるとドアへと向かい、一度未練たっぷりに振り返ったが、ドラコからの引きとめの言葉はなく、しょんぼりと部屋から出て行く。

(ちぇっ!夜を徹して帰ってきたのになー。またか……)
ハリーはうなだれて、またついさっき昇ってきたばかりの階段を、今度は下へと降りていく。

上質なオーク材で出来たドアを開け大広間へと入ると、いつもの定位置のソファーに寝っ転がり、部屋から追い出されたときのために自分がいつも用意している薄い毛布に包まった。

「はぁー……。相変わらず容赦ないなー。 この部屋で眠るのは今月に入ってもう4回目だよ。僕は部屋で眠るより、こちらで寝ているほうがもしかして多いかもしれないなー」
暗い天井を見上げて、ハリーはそっとつれない恋人を思いつつ、ため息をついたのだった。


    ■END■


*あー、今回はNC-17指定にしなければと思ったけれど、よく見てみれば、キスと髪の毛触っているだけじゃないですか。
そんなはずではなかったのですが。
あれれ……?
しかし、ハリーのほうが「アンアン」よがってて、何か書いてて妙におかしくて、楽しかったです♪
ノリノリだな、ハリー!
まだこのシリーズは続きます。