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ラボ@ゆっくりのんびり
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西ロマSSSシリーズ

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西ロマSSS02


 劣等感のかたまりだった。
 それは誰かに指摘されずとも自分で一番よく分かっていることだった。
 片や絵も貿易も上手で祖父に惜しみない愛情を注がれて育った弟と、片や捻くれていて家の中のマフィアすら鎮静できない出来損ないの兄では誰しも弟を選ぶだろう。客観的に見ても俺は決して俺を選ばない。
 何をしても上手くいかない。どれだけ頑張っても結果がついてこない。そうなるたびに俺は自分を信じられなくなっていた。
 だけどそうなるたびに、汗水流して立っているスペインの姿に魅せられていた。助けられていた。救われていた。何度も、何十回も、何百回も、何年も、何十年も、何百年も。
 その姿に頭を撫でられながら、「ヴェネチアーノ」ではなく「ロマーノ」と呼ばれることがどれだけ嬉しかったか、きっとスペインは知らないだろう。
 今どうしようもなく止め処なく溢れる想いを伝える言葉を俺は知っているはずなのにどうしてもそれが口に出来なかった。だけどスペインは優しすぎるくらいに優しいから、俺がそうやってまごついていることに気付いたら頭を撫でながら俺の名を呼んで赦すだろう。流暢なスペイン語で、あの独特なイントネーションを含んだ言葉で、俺を惹きつけて離さなかったあの笑顔で。
 そのたびに俺はまた俺を嫌いになっていく。