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冬花

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けれどその次のキスは自然だった。俺はなんとなく冬花とコンビニに行った帰りだった。なんとなく二人で歩きたい気分に二人ともなったので、アイスを買いに行くという名目で出かけたのだった。行きも、コンビニでアイスを選んでいるときも楽しかったし落ちついた。よくわからんが「明王くんはガリガリくんね」と即決されたが不快ではなかった。冬花はアイスの実を選んだ。なんかあまりに“冬花っぽい”チョイスだったので本当にそれ好きなの?と訝ってきいてみたが冬花はきょとんとしていた。以心伝心とかそういう感覚はないし、俺はまだ冬花を理解できないと思う感覚もあるのに、一緒にいるのが自然だと感じていた。
帰り道、そんな気持ちのままでキスした。余計な考えはなかったし、どんなやり方でも、何度繰り返してもそれは全て自然だった。
多分、“自分”っていうのが恋愛には邪魔になるんだと思う。どう見せたいとか、勝ち負けとか立場とか。二人の関係とかその他の人とか自分とかを客観的に見つめ出すと、何も出来なくなる。ただ相手を見たり感じてたりすると、二人の行動は自然とある方向に流れて行くのだ。多分恋人どうしは、ただ流れに身を委せてればいい。だから恋人たちは、世界に二人だけになってしまうのだと思う。
冬花はいつだって、俺と二人だけになることが出来る。俺は、まだ自分でその流れはつかめない。
俺はそれでもずっと二人でやっていけそうな気がするけど、それでもいつか別れたりするんだろうか。ああ、自分他人だけでなく過去未来も恋愛の邪魔になるんだな。
俺はこういうことをとりとめなく考えるようになったけど、冬花は何を考えているのだろう。
俺にはわからない。


07015:00


作品名:冬花 作家名:ooc