世にも奇妙な物語
ハリーはリビングの散らかったものを片付けると、テレビを切り部屋の明かりを落とす。
ドラコが出てくるので廊下の電気はそのままに、ベッドルームへと入った。
鏡の前の洋服掛けには、自分のスーツとドラコのスーツが並んでいる。
こうしとけば朝寝坊しても大丈夫だと、ドラコが勝手に吊るしたものだ。
クローゼットの中にも自分の服ではないものが何着かあり、サイドボードにはクィディッチマガジンのほかに読みかけのミステリー小説がある。
ハリーは小説は読まない。
それらは全て、ドラコのものだ。
週末はふたりで夕食を作り、テレビを見ながら過ごして、そのまま泊まることも当たり前になってきた。
もっとこの部屋にドラコのものが増えたら、きっと相手は週の半分はここで過ごすと言い出すかもしれない。
こうして自分のものではないものが、自然に増えていくのは、悪くなかった。
きっと、半年を過ぎる頃には、このフラットでは少し狭いので、もう少しゆとりがある大き目の一軒家を探すことになるだろう──
ホグワーツを卒業してから、偶然再会したのはほんの少し前だ。
それが、一ヶ月もたたないうちに、こうして自分のフラットに泊まるのが当たり前になるなんて、今でも信じられない。
ベッドに腰掛けると、ハリーは壁に掛けられている学生の頃の写真に目をやる。
そこにはドラコの姿などどこにもない。
犬猿の仲だったから当たり前だ。
それなのに―――
(まったく、ドラマなんかより現実のほうが絶対に奇妙じゃないか)
ご機嫌に首を振り、ハリーは笑いながら靴を脱ぎ、ベッドに寝転がったのだった。
■END■
◇「世にも奇妙な物語」の再放送を見て、思いつきました。
まったく、このお話はどれを見ても、納得がいかないオチが付いています。
「なんで?」とかいつも思って、グルグルしています。
ドラマに踊らされています。
なんだか、ドラコじゃないけど、本当に負けた気分がします。